「今できない」が条件、IVIが新たに取り組む「未来プロジェクト」 : IVI公開シンポジウム2017春(1) (2/2 ページ)
これらの取り組みを推進し、ボトムアップ型で地道な成果の積み上げを続けていく一方で2017年度は一転して「未来」をテーマに掲げた取り組みを強化する。西岡氏は「IVIは現場起点の緩やかな標準をテーマとしてきたこともあり、現場からの積み上げによる改善アプローチをベースとして取り組んできた。しかし、改善だけでは不十分な場合もある。逆に今はできそうもない未来を描き、その実現を目指すことで障壁となっている技術を洗い出し、新たな技術革新につながるという意味も生まれる」と考えを述べている。
ボトムアップ型とトップダウン型のアプローチの違い(クリックで拡大)出典:IVI
具体的には、このプロジェクトは「IVI 未来プロジェクト」とされ、2017年1月10〜31日にIVI内で意見募集を行った。「条件として『できる』は全て外し『できない』を必須条件とした」(西岡氏)。さらに「複数企業が協力して行うもの」「日本やIVIの強みが発揮できること」「夢があること」「10人の内9人は反対しそうなこと」などの条件を加えて26のアイデアが集まったという。
これらのアイデアを整理すると主に4つの分野に集約されたという。具体的には「知能化」「サイバー化」「デバイス化」「ソフトウェア化」である。それぞれの内容と要素は以下の通りである。
知能化(意思決定と行動の融合) :モノづくりの立場からAI(人工知能)を突き詰める。ディープデータ。人間とAIの境界のデザイン。暗黙知。ノウハウの共有。データを自ら取りに行く。モデルベース予知
サイバー化(物流、商流、金流の融合) :企業間、オープンスペースでのトレーサビリティやマッチング、リアルタイム決済、アカウンティング、ファイナンス。知財の流通。フィンテック。グローバルID、どこでも工場
デバイス化(情報伝達、加工、蓄積) :トランザクションにおけるデータ入力作業を極限までIoT化を進めてなくす。紙媒体が存在しない世界。デジタルカンパニー。その場にいなくても全てが見える。バーチャル経営
ソフトウェア化(機能、リアルの置き換え) :組み込みソフトウェア部分をオープン化、外部化し、物理的に行っていた手順決定を置き換え。VR、AR、AM。製造プロセスのデータ化。オープン&クローズ戦略
具体的には2017年度は実行可能性調査や公的予算の折衝などを推進し、2018年度からコンソーシアム型で実プロジェクトをスタートさせる予定。2020年度には中間成果をフィードバックし、見込みがない場合はそこで終了させるなどの見極めを行う。
さらに産学連携などの取り組みも強化し、2017年度前半で技術的な課題を明らかにし、参加企業が確定した時点で、研究開発的な部分を大学、研究機関などに協力を要請する。未来プロジェクト拠出金なども用意する他、研究開発テーマやゴールの設定および公募などを行う。
さらに中小製造業向けに10万円でIoTが全て完成するキットをIVIで調達しサポートなどを行う「10万円IoTプロジェクト」や広報活動の強化として「IVIエバンジェリスト活動」の始動、これまでのシナリオによるデジタル化されたモデルを活用した「Proactive Platform Activation Program(PPAP)の用意、セミナー展開の強化、グローバル展開の強化などの取り組みを推進していく計画を示している。
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