「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加する「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」は取り組みの進捗状況を紹介するIVIシンポジウムを開催。本連載では、同シンポジウムの内容を取り上げていく。第1回は“プラットフォーム化”へ踏み出したIVIの2016年度の取り組みについて紹介する。
2015年に6月に活動を本格化させた「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」。活動開始からわずか1年強だが、さまざまな活動を本格化させている。2016年10月13日には「プラットフォーム化」に踏み切った2016年度の活動の振り返りと、“使える”プラットフォームの構築への取り組みについて紹介した。
IVIは、日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となり、2015年6月に発足※)。発起人となった法政大学デザイン工学部 教授 西岡靖之氏が理事長を務める。2016年9月20日時点でIVIのメンバーは、正会員(製造業)113社、サポート会員(IT、コンサル系)55社、学術会員17人、賛助会員12団体となっており、総勢で501人に達している。
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IVIが目指しているのが、日本独自の「つながる工場」のリファレンスモデル(参考となるモデル)の創出である。日本独自の現場力などを生かすために、より現実的な課題を起点として問題解決への議論を進め、そしてそこで生み出した「解決の形」を標準化する「緩やかな標準」を活動の中心として打ち出してきた。しかし、2016年度からは「『つながる工場』を実現するには、これらの『緩やかな標準』を積み上げるだけでは難しい。製造業のビジネスシチュエーションに合わせた一種のテンプレート(ひな型)が必要だ」(西岡氏)とし、一気に「プラットフォーム化」へと舵を切った※)。
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西岡氏は「製品中心の世界からサービス中心の世界へと移行が進んでいる。従来はモノやシステムを人が組み合わせてコトを得るというような形だったが、サービス化が進んだ世界になると、つながった世界で生まれたコトを利用することになる。その際にシステムはつながっていなければならない。これらを実現するには個々の技術レベルの話ではなく、ある一定の枠組みが必要になる」と述べている。
「プラットフォーム」という言葉は利用する人によってさまざまな解釈が成り立つ言葉だがIVIでは「異なる業務やシステム間でデータを相互利用するための仕組み」と定義。さらに、これらのプラットフォームを構成する「IVIコンポーネント」としては、「インフラ」「アプリ」「デバイス」「ツール」の4つも併せて定義している。
西岡氏は「IVIが目指すのは、あくまでもモノづくりの視点でこれらのコンポーネントを結び、データをつなげるプラットフォームを作るということである。そこに強みがあると考えている」と述べている。
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