米国のAIベンチャー・データロボットが、「AIの民主化」を掲げ、日本市場での事業展開を本格化する。既に東京オフィスを開設しており、2017年度末までにデータサイエンティストを中心に人員を10人以上に増員する計画だ。
米国の人工知能(AI)ベンチャー・データロボット(DataRobot)は2017年2月28日、東京都内で会見を開き、日本市場での事業展開を本格化すると発表した。既に東京オフィス(東京都千代田区)を開設しており、2017年度末までにデータサイエンティストを中心に人員を10人以上に増員する計画だ。
データロボット ビジネスディベロップメント バイスプレジデントのラジ・ラウディン氏は「AI市場は、2013年の82億米ドルから2020年には700億米ドルまで成長するという調査もある。これは実に年率35%という伸びだ。当社はFortune誌のAI革命をけん引するトップ50社にも選ばれており、AIを使ってビジネスを伸ばすBI&分析の分野では他社にない製品を提供している。当社にとって2番目の売上市場になる日本で本格的な事業展開を始められることは重要だ」と語る。
データロボットは自社の製品を「エンタープライズ機械学習プラットフォーム」と呼んでいる。「世界ランキングトップのデータサイエンティストのベストプラクティス」(ラウディン氏)を組み込んでおり、専門のトレーニングを受けたデータサイエンティストが設計しなければならない機械学習プロジェクトのワークフローを大幅に自動化することができる。
同社の日本代表となるカントリーマネージャー・ジャパンに就任した原沢滋氏は「ビジネスには予測が必要だ。IoT(モノのインターネット)などから得たビッグデータを使って、機械学習などのAI技術により予測モデルを構築すれば、ビジネスに適用することができる。しかし機械学習などのAI技術はデータサイエンティストしか扱えず、ビジネスを推し進めるエンジニアやビジネス担当者は使えなかった。データロボットの製品は『AIの民主化』がキーワードになる。これで、データサイエンティストではなくても、エンジニアやビジネス担当者をはじめ、果ては世界の全ての人々がAIを活用できるようになる」と語る。
日本市場では、2015年11月にリクルートがデータロボットに出資した後、2016年1月には第1号のユーザーとの契約に成功している。そして2016年7月に新日鉄住金ソリューションズとパートナー契約を結んだ後、2016年10月の「CEATEC JAPAN 2017」にリクルートと共同出展したことで一気に認知度が高まったという。今回の会見では、出資元のリクルートの他、大阪ガス、パナソニック、トランスコスモスなどが採用企業として名を連ね、既に日本で10社以上が利用を始めているという。
製造業関連ではパナソニックから「顧客向けのさまざまなソリューション提案や社内の生産効率の改善を加速する目的で活用している」(パナソニック AI総括担当の井上昭彦氏)というコメントが寄せられた。
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