「SOLIDWORKS World 2017」の基調講演では、3D CADによる設計から製造をそのままつなげる「スマート製造」に向け、全てのバージョンのソリッドワークスにCAMソフトウェア「SOLIDWORKS CAM」を標準搭載する方針が示された。トポロジー最適化機能や、3Dプリンタ向けの微細格子形状自動生成機能などの開発も進んでいる。
ダッソー・システムズ・ソリッドワークス(Dassault Systemes SOLIDWORKS:以下、ソリッドワークス)の年次ユーザーイベント「SOLIDWORKS World 2017」(会期:米国時間2017年2月5日〜2月8日)が、ロサンゼルスコンベンションセンター(米国カリフォルニア州ロサンゼルス)で開幕した。
事実上の会期初日となる同年2月6日の基調講演には、ソリッドワークスブランドのCEOを務めるジャン・パオロ・バッシ(Gian Paolo Bassi)氏や、ダッソー・システムズ CEOのベルナール・シャーレス(Bernard Charles)氏、同社エグゼクティブバイスプレジデントのモニカ・メンギニ(Monica Menghini)氏などが登壇。ソリッドワークスや、ダッソー・システムズのクラウド「3Dエクスペリエンスプラットフォーム」の方向性について語った。
基調講演は著名なイリュージョニストのジャスティン・ホルム氏によるイリュージョンから始まった。司会の女性が空の箱から登場し、ステージ中央にある空の箱から象の人形を出てくるといったイリュージョンを次々に披露した。
そしてバッシ氏は、これらのイリュージョンの仕掛けを設計開発しているイリュージョンプロジェクト(Illusion Project)創業者のティム・クロージアー(Tim Clothier)氏をステージに呼び込んだ。世界的なイリュージョニストであるデビッド・カッパーフィールド氏の仕事も請け負う同社はソリッドワークスのユーザーでもある。「カッパーフィールド氏との仕事では、彼の強烈なアイデアスケッチをCADに落とし込んで、その結果をiPad上で見られるようにする。オーディエンス、オペレーション、パフォーマーがシームレスにつながって初めて実現できるのがイリュージョン。トースターや飛行機などと同様に人とマシンの関係がそこにはある」(クロージアー氏)という。
ソリッドワークスを採用した理由は「業界のディスラプターになれると考えた」(同氏)からだ。イリュージョンに使う巨大な鉄道車両を31日で製作できたのも、何もないところから出現させる30フィートサイズのヨットを作るのにもソリッドワークスが役立った。
クロージアー氏は「20年暖めてきたアイデア」としてイリュージョンに使う仕掛けのCAD画面を示した。ソリッドワークスによって徐々に完成するその形は、なんと巨大な回転ノコギリ。そして「ソリッドワークスで作ったものだから当然命を預けられますよね?」と言って、バッシ氏に、回転ノコギリで切断されても無事というイリュージョンにチャレンジさせた。
無事イリュージョンを切り抜けたバッシ氏は、今回のテーマである「THE NEW. THE NEXT. THE NEVER BEFORE.」に沿って、ソリッドワークスユーザーの事例を紹介。「THE NEW.」からはNASAが開発中の500kgのペイロードを持つ月面アスリートローバー、「The NEXT.」からは岩を削ることで小惑星の軌道を変えて地球を守る防衛システム、「THE NEVER BEFORE.」からは、SpaceXの開発プロジェクトとなる、時速760マイルでサンフランシスコからロサンゼルスを30分で結ぶ移動カプセル「ハイパーループ」を挙げた。
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