「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像
特集
» 2017年02月07日 11時00分 公開

「CES 2017」は自動運転車と人工知能のユートピアだったCES 2017レポート(4/4 ページ)

[吉岡佐和子(情報通信総合研究所),MONOist]
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パーソナルアシスタントを提供する自動車メーカーの真の狙い

 以上のように、ドライバーにとってさまざまなメリットがあるのも事実だが、自動車メーカーがパーソナルアシスタントを提供する最大の狙いは、ドライバーの「クルマを降りてからの行動データの収集」だろう。

 クルマは現状では単なる移動手段にすぎない。特に、スマートフォンの持ち込みあるいは車載器との連動により、車室内の行動に関するユーザーのデータもスマートフォン提供事業者あるいはアプリ提供事業者が握ることになる。しかし、パーソナルアシスタントを置くことで、例えばクルマに乗る前、あるいは降りてからの行動もパーソナルアシスタントが面倒をみるようになれば、ユーザーの車室内および車外での行動データも自動車メーカーが収集できるようになる。つまりは全てのユーザーデータを、グーグル(Google)やアップル(Apple)などに握られずに済む。

 家庭内の他のデバイスに搭載すれば、スマートフォンを持たずとも会話が成立する他、仮にスマートフォン上でもパーソナルアシスタントを活用してもらえれば、自動車メーカーでありながら、クルマに乗っていないユーザーの24時間の行動データを把握することが可能となる。自動車メーカーはこれまでも、ラストワンマイル(クルマを降りてからのユーザーの動向)に関する情報を取りたがっていた。トヨタのテレマティクスサービス「T-Connect」はそのためのアプリも提供している。パーソナルアシスタントにより、ユーザーの手間を軽減しつつより自然な形でユーザーの行動データを取る手段となりえる。

 自動車メーカー各社が「バディ」や「パートナー」として紹介する各種パーソナルアシスタントは、自動車メーカーとユーザーの顧客接点を保ちながら、自動運転車を単なる「移動手段」にとどまらせず、その先のサービスまでをも見通せるような取り組みになっているのだ。

 それが自動車メーカーのもくろみ通りにいくかは、いかに「自然な」操作でこのパーソナルアシスタントにアクセスできるかという点が大きな要因となるだろう。ボタン1つでアシスタントと会話ができるスマートフォンを超える存在となりえるのか、自動車メーカー各社の挑戦はこれからだ。

筆者プロフィール

吉岡 佐和子(よしおか さわこ)

日本電信電話株式会社に入社。法人向け営業に携わった後、米国やイスラエルを中心とした海外の最先端技術/サービスをローカライズして日本で販売展開する業務に従事。2008年の洞爺湖サミットでは大使館担当として参加各国の通信環境構築に携わり、2009年より株式会社情報通信総合研究所に勤務。海外の最新サービスの動向を中心とした調査研究に携わる。海外企業へのヒアリング調査経験多数。



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