さて、第14回全日本学生フォーミュラ大会のピットレポートも最後の1校になりました。まるでインディカーのような素晴らしい仕上がりのマシンTF2016を擁する東海大学です。チームリーダーの小川和輝さんにお話を伺いました。
関 先ほどメンバーの方にお聞きしたのだけど、残念な結果(トラブルでエンデュランスに出走できず)だったそうですね。しかしマシンの仕上がりすごくいいですね!
小川さん はい。前回の車両を作ったメンバーが多く参加してくれているのと、スポンサーさんの技術支援を多くいただいて、十分に上位校と渡り合えるパフォーマンスを持った車両ができたと思っています。ただ、そのパフォーマンスを本番で思うように発揮できないのは自分たちに何か足りないものがあって、それが上位校との差なのかなと分析しています。
関 それはチームマネジメントってことなのかなぁ?
小川さん はい。大会前にもっとやるべきことがあったのにそれが見えていない。逆にそこを詰めていける。もっともっと伸び代があるのかなと思っています。
関 素晴らしいねぇ。なんだか学生さんと話しているとは思えなくなってきたぞ(笑)。本番に向けて誰がいつまでに何をやるのかをきちんと決めて、工程表を作り、進捗をチェックしていく。プロジェクトマネジメントをちゃんとしようってことだよね。
小川さん はい、まさにそこの詰めが甘かったんです。
関 原因がはっきりすれば対策はできるよ。次回に向けてやるべきことがはっきりしたね(ついつい仕事の部下育成モードに入りそうになっている筆者)。では、マシンの特徴を教えてください。
小川さん まず、カーボンモノコックボディーを採用しています。パイプスペースフレームを採用するチームの多い中、アドバンテージはあると思います。エンジンはスズキのVツインを使っています。
関 え?スズキのVツインって650ccしかないですよね?
小川さん はい、SV650のエンジンをボアダウンしています。Vツインエンジンは2005年から使っていて、途中で4気筒を使った時もあるのですが、ここ3年はこのエンジンです。2016年はカムシャフトの設計も自分たちでやり、スポンサーの企業さんに加工していただいたのですが、思うような性能が出せないまま本番が近づいてしまい、そのカムは使えませんでした。そこも悔しいところです。
関 トラブルはどういう内容だったの?
小川さん 電装系です。3日目午前中のスキッドパッド、アクセラレーションまでは全く問題がなかったのですが、午後の走行に出ようと思ったら電源が入らなくなって、原因追究したところ、最終的にはECUが壊れてしまっていて、急きょお借りしたECUでオートクロスを一本何とか走ったのですが、エンデュランス走行前にまた電源が入らなくなり、失格となりました。ただ、その後の騒音試験ではまた電源が入り……つまりまだはっきりとした原因究明ができていないので、帰ってからしっかり調べます。
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