富士通とレノボがPC事業で提携、「あくまでも独立事業としての強化策」富士通社長:製造マネジメントニュース
富士通とPC事業子会社の富士通クライアントコンピューティングは中国のレノボグループとPC事業において戦略的提携を行う。富士通の代表取締役社長 田中達也氏は「あくまでも独立事業として強化する観点での提携である」と強調している。
富士通とPC事業を子会社として分社した富士通クライアントコンピューティングは2016年10月27日、グローバルにおけるPCの研究、開発、設計、製造に関して、中国のレノボグループと提携することを発表した。
富士通では、事業構造改革の一環としてIT系の企業向け事業である「テクノロジーソリューション」にリソースを集中し、民生製品などを扱う「ユビキタスソリューション」や部品などを扱う「デバイスソリューション」については独立ビジネスとして、統合や売却などを見据えた取り組みを進める方針を示している。これらの流れの中、2016年2月1日にはPC事業を分社化。富士通クライアントコンピューティングを設立し、関連事業の成長に向けて可能性を模索してきた。
富士通の代表取締役社長 田中達也氏
今回の戦略的提携は「富士通の持つグローバル販売力やサポート力、開発や製造能力と、レノボが持つオペレーション力を融合し、グローバル市場で戦うための成功モデルを目指すもの」としている。報道などではPC事業の売却や統合などが話題として挙がっているが、富士通の代表取締役社長 田中達也氏は「あくまでも独立事業としての強化を見据えたものだ」と強調している。提携先としてレノボを選んだ理由としては「グローバルで強いメーカーであるということが大きい。一緒に展開する利点があるのではないか」と田中氏は述べている。
ただ、提携の内容については「現在検討中であり話せない」(田中氏)としており、その選択肢の中には、統合や売却なども含まれている。ニュースリリースの文言には「富士通はこれまでと変わりなく、高品質かつ革新的で信頼性の高い富士通ブランドのPC製品とアフターサービスを世界中のお客様や販売パートナー様に提供してまいります」としており、富士通ブランドのPC製品の販売を継続することは決まっている。ただ、ここに記されていない生産や開発の領域については、今後レノボに売却する可能性がある。
富士通のPC生産拠点である島根富士通の工場。インダストリアルインターネットコンソーシアムのテストベッドに認定されるなど、IoTを使った先進的な取り組みなども行っている※)
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