インドではマルチスズキがトップシェア、ということは以前からよく知られています。ヨーロッパや韓国、それに日本のメーカーが次々と本格参入してきた現在でも、およそ40%のシェアを確保していますが、あらゆる自動車メーカーが新興国市場の攻略に本腰を入れているので、今後どうなるかはまったく予測できません。
インドでは他の国にない、ユニークな車型が大きな販売ボリュームを占めています。それは「全長4m未満のノッチバックセダン」というもの。フォーマルでステータスを感じられるセダンに人気が集まるのは、マイカーの普及がはじまった新興国に共通するトレンドです。しかしインドでは、全長4mを境界として物品税の税率が大きく変わるため、インドだけで見られる車種の登場を促しています。
インドにおける自動車の物品税率は通常ならば価格の22%ですが、全長4m未満ならば10%に減免されるのです。大衆はフォーマルなセダンが欲しいけれども、税金は安く抑えたい。そこで生み出されたのが、ハッチバックにわずかばかりのトランクを追加したような、リアオーバーハングが極めて短いノッチバックセダンというわけです。
今回のショーの注目点は、このインド特有のセダンの新型車を、欧米自動車メーカーも発表してきたというところです。これまで、マルチスズキの「スイフト ディザイア」、ホンダ「ブリオ アメイズ」といった日系ブランド車が主流だった市場に、Ford Motor(フォード)やGeneral MotorsのChevrolet(シボレー)ブランド、Volkswagenが本格参入してきたのです。
以前から日系ブランドを追い上げていた韓国の現代自動車も合わせて、一気に激戦区となるわけです。ショーを訪れた観衆の視線も熱く、真剣な面持ちで価格表を見つめる人が多かったのが印象的でした。欧米ブランドも、今後はこれまで以上に大衆感覚で親しまれる存在になっていくのでしょう。
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