東北大学は、トプコンと協力して、多様な緑内障の病態を自動で分類するソフトウェアを開発した。スウェプトソース光断層計により視神経乳頭形状のパラメータを測定するもので、緑内障をより客観的・正確に分類することが可能になったという。
東北大学は2016年8月25日、トプコンの技術本部と協力して、緑内障を自動で分類するソフトウェアを開発したと発表した。同大学大学院医学系研究科眼科学教室の中澤徹教授らの研究グループによるもので、成果は同日、米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。
緑内障では眼圧が最大の危険因子だが、眼血流や近視、血管の攣縮(れんしゅく:スパスム)などが原因で悪化することも知られている。眼圧以外の因子が与える悪影響が大きい場合、緑内障の主な治療法である眼圧下降治療だけでは緑内障の進行を食い止めることが難しくなる。また、患者の約4割は眼圧下降治療に反応しないという。
緑内障を、眼圧と眼圧以外の危険因子(スパスム、近視、血流障害)を反映した4つのグループに分類できれば、治療の効率は上がる。しかし、その分類はこれまで肉眼で判定する眼底検査によるもので、検査者の熟練を要する上に、主観的な要素が大きいことが課題となっていた。
そこで今回、同研究グループは、スウェプトソース光断層計(OCT)という装置で視神経乳頭形状を3次元眼底撮像し、その計測値を用いて、自動で緑内障の危険因子を4つに分類できるソフトウェアを開発した。
近年、光を用いた断層画像化法の研究開発が進み、断層の撮影が可能なOCTが開発され、臨床現場でよく使用されるようになった。なかでも、組織侵達度が高いスウェプトソース光源(1050nm)を使用し、より深部の断層像を高精細に撮影できるスウェプトソースOCTが開発されたことで、より正確に視神経乳頭形状を把握できるようになった。同研究グループが開発した、OCTによる乳頭形状のパラメータ測定方法により、緑内障のより客観的・正確な分類が可能になった。
この研究成果は、病因や進行形態が多様な緑内障の診療において、緑内障病態の標準化・細分化が図られ、治療の個別化が可能になることが期待できるとしている。
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