実装ラインは、プリント基板に半導体や電子部品などを表面実装機を使って装着/はんだ付けして、その状態を検査/確認して次の組み立て工程に送る製造ラインだ。表面実装機、挿入機、クリームはんだ印刷機、リフロー炉、検査機といったラインを構成する装置はほとんどが自動化されており、実装に用いる部品や材料の補充、メンテナンス以外で作業員を必要としない。
神戸工場はこの実装ラインに隣接する形で、作業員が手作業での最終製品への組み立てを行っており、極めて対照的だ。
自動化が進んでいる実装ラインだが完全に無人で生産を継続できるわけではない。先述した通り、部品や材料の補充、メンテナンスの他、生産品目の切り替えなどでは作業員が必要だ。その作業員は、組み立て工程と同様に交代制で人員を入れ替えることになる。
この作業員が交代する際の情報共有は、基本的に紙ベースの資料でやりとりされていた。神戸工場を統括するパナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部 プロダクトセンター 所長の清水実氏は「紙ベースの資料で情報共有していたときは、情報がうまく伝わらなかったり、分かりにくかったりという問題があった」と語る。
そこで2015年4月から、紙ベースの資料を使っていた、生産計画、切り替え作業の指示書、メンテナンスのマニュアルなどを電子化し、10.1型のWindowsタフパッドであるFZ-G1で確認できるようにした。
そして2016年4月からは、表面実装機への部品補充に用いるテープリールの交換作業についても、4.7型のAndroidタフパッドFZ-N1を使って全て行えるようにした。従来は、バーコードリーダーを使ってテープリールの認識を行って、PHSでラインマネージャーに連絡し、交代時の情報共有は紙のノートで行っていた。FZ-N1であれば、カメラによるバーコード認識、ラインマネージャーへの電話連絡、交代時の情報共有を1台の端末でカバーできる。
清水氏は「タフパッドの用途は“現場”だが、その中でも製造現場に提案していくには、まず自分たちで使ってみなければならないと思った。実際に効果も出ているので、お客さまに見学していただき、実際に現場で使える製品だということを理解してもらえればと考えている」と強調する。
さまざまな現場で「iPad」を中心とした市販タブレット端末の導入が検討されている。しかし、「タフパッドの強みは市販品にない堅牢性にある。多少重いのは確かだが、落としたりぶつけたりしても確実に動作し続ける。動いてほしいときにきちんと動き続ける、ビジネスを止めないことに大きな価値があるのでは」(同氏)という。
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