ポルシェは、ドイツ・シュトゥットガルト―ツッフェンハウゼンの中心にV型8気筒エンジンの生産工場を新設した。最先端の生産方式によって管理される新工場では、今後、フォルクスワーゲングループのV型8気筒エンジンが製造される予定だ。
ポルシェは2016年7月13日、ドイツ・シュトゥットガルトのツッフェンハウゼンの中心に、V型8気筒エンジンの生産工場を新設したと発表した。新工場はフォルクスワーゲン(VW)グループ内の相乗効果にも寄与し、今後VWグループ全てのV型8気筒エンジンが、ツッフェンハウゼンで製造される予定だ。
2014年初頭に建設が始まった新工場は、ポルシェの主要生産拠点西側の拡張ゾーンに位置する。建物のフロア面積は約1万m2で、工場は1階のロジスティクスと上階のエンジン組み立ての2つの階に分割される。建設費は約8000万ユーロ(約94億円)。ツッフェンハウゼンは、同社が初めて市販した初代ポルシェ356モデルが66年前に製造された場所で、当時は108人の従業員が働いていたが、今ではエンジンの生産のみで1200人以上の従業員を雇用する。
新工場の核となるのは、製造とオートメーションが調和して効率的に連結される柔軟な生産システムで、精度の高い工程を含む組み立てに導入される。約100のイノベーションが生産システムのコンセプトに組み込まれるなど、従業員は最新のマシンと工具によってサポートされる。例えば、従業員による設定が可能な産業用運搬車両の導入だ。リチウム―チタンバッテリーを積んだ電動運搬装置は、工場の2つのフロアをまたいで設置された1万6000個の磁石からなるグリッドネットワークによって導かれ、動き回る。このように、柔軟な対応力によって、今後の製品変更や新方式に対し、生産工程を容易に適応させることができる。
電子制御ツールも柔軟性に優れたシステムを採用。電子生産ネットワークを介してトルクやスピードのプリセットをいつでも変更できる。電子制御ツールを特定の使用場所に限定せず、新しい仕事場に取り付けるだけで、組み立て工程で広く使用できる仕組みだ。
新工場は、建造物の持続可能性についてもマイルストーンを達成する。建物は40の持続可能性基準に基づいて評価を受けた。特に、屋根の太陽光発電システムは年間24万2500Kw/hの電気エネルギーを発生。従来の発電に比べて、発生するCO2換算で105トン削減するという。また、広大な屋根は植物により緑化されており、大気環境の改善にも寄与する。
ここ数年でポルシェは、3億ユーロ(約352億円)以上をシュトゥットガルト―ツッフェンハウゼンの主要生産拠点に投資している。また、将来のプロジェクトに向けて中心部の事業用地を開発するために、シュトゥットガルトの保有地を2倍以上の60万m2に拡大した。数年以内に10億ユーロ(1170億円)を超える追加投資を計画しているという。
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