BASFジャパンの説明員は、自動車メーカーがブランドの個性を表すボディーカラーにこだわり始めたと話す。代表例はマツダの新世代商品群だという。購入者の好みが分かれやすい赤色が、幅広いセグメントで車体色に設定されるのは珍しい。「ソウルレッド・プレミアムメタリックは、マツダを示す色として認知された。マツダ以外の自動車メーカーも、特徴的な目立つ色を模索しているようだ」(同社の説明員)。
マツダはさらに、金属のような質感を追求した「マシーングレー」もブランドを象徴とするボディーカラーに位置付けようとしている。ソウルレッド用の塗装技術を応用して「鉄から削り出したかのようなリアルな金属質感」(マツダ)を実現したという。
トヨタ自動車の最近の新型車も、「世界初」(トヨタ自動車)だという珍しいボディーカラーを採用している。2015年12月発売のハイブリッド車「プリウス」には、フレッシュさと先進性を与える狙いの「サーモテクトライムグリーン」を設定した。
サーモテクトライムグリーンは従来のボディーカラーと同じ塗装工程だが、着色層にカーボンブラックを含まない塗料を採用することで、車体表面温度の上昇を抑える。従来の塗料によるグリーンと比較して、表面温度が5度低くなるとしている。
トヨタ自動車のミニバン「シエンタ」に設定された「エアーイエロー」もサーモテクトライムグリーンのように街中で目立つ色だ。一目見てシエンタだと見分けることができる。
自動車メーカーがボディーカラーでブランドを表現するようになると、こうした独特な色のラインアップが増えていきそうだ。BASFは自動車メーカーの動向に対応して、顔料や塗装の手法など幅広くとりそろえていく方針である。
クルマのボディーカラーはリセールバリューを考えると白/黒/シルバーなど無難な色を選びたくなる。しかし、2〜3年後には定番色にもさまざまな個性が生まれ、個性的な色はさらにバリエーション豊かに発展していきそうだ。
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