ドローンに搭載されているフライトコントローラーの多くは、フライトコントローラー側からESC(モータードライバー)への片方向制御しかできない。一方、産業用と呼ばれる機器には温度センサーや回転センサーが入っていたり、どれだけ電流が流れているかを監視し、過電流が流れると何らかの措置を行うなどの機構を備える。しかし、多くのドローンにそういうものは組み込まれていない。
今村氏はドローンの現状をPC(DOS/V互換機)の黎明(れいめい)期のようなものだと分析する。当時ショップブランドのPCメーカーは台湾や香港などからパーツを仕入れて組み立て、販売していた。国産メーカーのPCより高性能で安いので、一般的な用途のPCとしては十分であり、ショップも作れば売れていた時代だ。
しかし、これでは製造現場や設備の制御装置、産業機器への組み込みといった用途には使えなかった。部品の長期供給ができない、ロットが不安定、製品保証がされないなどの問題があるからだ。そこで産業用PCが登場する。
つまり、ドローンも産業向けとして展開するならば、産業用PCが登場したときと同じように、真の産業用のドローンが出てこなければいけないと今村氏は述べる。
今村氏 いま私たちが何をやっているかというと、この産業用ドローンに使われる部品を日本のそれぞれの部品メーカーに対し、ドローン専用という形で作ってくださいというお願いをしています。
USBやイーサネットのコネクターは大きさや形状が決まっていますよね。デファクトスタンダードというものがあって、はじめて産業として成長していくと考えています。現在、ドローンでデファクトスタンダードのように使われているコネクターは民生用であって、産業用に使えるレベルではありません。
最低でも車載に利用できるレベルのパーツを集めていこうとしています。バッテリー、コネクター、ケーブルなど、電動自動車用の部品を開発している会社さんと一緒にやっています。
ドローンワークスのメイン事業は国産フライトコントローラーの開発だが、こうした「求められるべきドローンの技術要件」を形にすることを同時に進めている。標準化した仕様は公開するか、あるいはアライアンスを組んで、そこに参加するものであれば利用できるようにすることを想定している。
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