今村氏が自社の強みを生かせるところとして考えているのは「サービス層」より下の部分、そこに産業用ドローンにおけるビジネスのチャンスがあるとする。ドローンワークスが開発を進める機体には、最終的に50個以上のセンサーを搭載する予定だ。
今村氏 いままで民生用として、携帯電話に入れることを目標にしていたセンサーメーカーに対して(車載というとハードルが高くなるので、その真ん中くらいという意味で)、ドローン用というカテゴリーの製品を企画してみませんかというお話をしています。
車載向け部品というと「こういう状態に耐えられるものでないと使えません」という、自動車関連部品ならではの厳しい品質保証規定があります。ドローンはまだそこまで確立できていないので、「取りあえずドローンに使ってみて、ブラッシュアップしていきませんか」と。センサーメーカー何社かとお話しながらやっているという状態です。
産業用と呼ばれているものに使用されるモーターでは、その多くでセンサーが電流の量を監視している。こうしたデータをクラウドに集めることで、ドローンに対するビッグデータが生まれてくる。
今村氏 モーター1つとっても、レッドゾーンで回したのとグリーンゾーンで回したのでは耐久性が変わって当たり前です。重い荷物を載せてレッドゾーンでいつも回しているドローンと軽いカメラを載せて飛ばしているドローンでは、モーターへのメンテナンスが必要になる頻度は変わってきます。
データが取れていれば、こうしたことが分かるわけです。機体状態を得る以外に、集められたビッグデータから学習して、というサービスも考えられますよね。
いまはまだ分かりません。データが取れてからが勝負なんです。もう、単純にモノを売る時代ではなく、データを取って活用した人が勝ちなので、僕らとしてもそこを狙っています。データを元に開発のアドバイスをしたり、保険サービスに売ったりとか、いろいろなことをして収入にするというビジネスを考えています。
そういうのを含めて、サービスのベースになるプラットフォーム、安全なプラットフォームを作ろうと考えています。
モーターの話でいえば、既に日本電産はIBMと共同で「モーター入っているセンサーを用いての予防保全」について協業している。また、日本電産は2016年1月のCES 2016にて、ドローン用モーターの発表も行っている。
このように、電動バイクや電動自走車のキーコンポーネントを手掛けているメーカーもドローン用に参入してくると思われるが、今村氏はこうした動きを歓迎するという。
今村氏 参入するメーカーと一緒に「産業用ドローンを部品レベルから標準化していきたい」と考えています。囲い込む気はないんです。それよりも安全でいいものを作るというところを推し進めていきたいと思っています。
本来ならば全体をやらなきゃいけないんですが、コネクター、バッテリー、モーターなど、それぞれのメーカーをつなげないといけない。いまは、それができていないのです。うち(ドローンワークス)がそういうパーツを集めた標準的なドローンを作りさえすれば、それが公開できた段階でお互いがそのパーツを相手に売りに行けるようになりまります。
一緒に組みたいという会社さんとぜひ話がしたいです。それぞれNDAがあって話ができないと思うので、うちがハブになります。いったんうちに集めて、アライアンスが組めるんだったら、いろんな会社を巻き込んで標準化していきたいです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.