これら3つの技術に加えて披露したのが、自動運転システム開発用のコンピュータ「BlueBox」だ。BlueBoxは、ミリ波レーダー、車載カメラ、ライダー、V2Xモジュールなどからの情報を統合して、自動運転の認識/判断/操作を行うことができる。
最大の特徴は、自動運転のための認識/判断/操作を行う、ARMのプロセッサコア「Cortex-A72」を8個有する動作周波数2GHzのプロセッサ「LS2088A」と、LS2088Aによる認識/判断/操作を監視する役割を担う車載ビジョンプロセッサ「S32V」を搭載していることだ。LS2088Aの処理能力は9万DMIPSに達する。
自動運転システム開発用のコンピュータと言えば、GPGPU技術を応用したNVIDIAの「DRIVE PX」や「DRIVE PX2」が知られている。これらとの違いについてシーバー氏は「NVIDIAの場合、消費電力が250Wと大きく水冷しなければならないが、BlueBoxの消費電力は40W未満で空冷できるので、車両への搭載に無理がない。また、BlueBoxはセンサーとつながるだけでなく、操舵や加減速に用いるアクチュエータ系のシステムとも容易に接続できる。量産車に自動運転システムを搭載する場合には、BlueBoxの技術を顧客の自動運転システムが求める性能に合わせたスケーラブルな形で展開することになるだろう。そして、自動車の安全要件について長年手掛けてきたNXPだからこそ、LS2088AをS32Vで監視するという冗長の仕組みを組み込むことができた。既にグローバル展開する自動車メーカートップ5社のうち4社に採用されている」と述べている。
日本市場での事業展開については、NXPセミコンダクターズジャパンで第一営業部・マーケティング本部長を務める三木務氏が説明した。三木氏は「2016年第1四半期の全社売上高に占める車載半導体事業の割合は37%。日本ではこれが65%になる」と語る。そして日本市場のフォーカスエリアとしてADASとカー・インフォテインメントを挙げた。
ADASは、先述したミリ波レーダーやセキュアなV2X、BlueBoxなどを提案していく。一方、カー・インフォテインメントのうちカーラジオについては旧NXP時代から展開してきた「Mercury」や「Titan」が高い評価を得ている。これに、フリースケールのi.MXファミリの最新製品「i.MX 8」を組み合わせて、メータークラスタやコックピット向けの展開を広げていくとしている。
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