ハンガリーのナビコアソフトベンダー・NNGの新CEOに就任したGiles Shrimpton(ジャイルズ・シュリンプトン)氏が来日経営方針を説明。ナビコアソフトの他に、新しいプロダクトラインによってさらなる成長を図るという。
ハンガリーのナビコアソフトベンダー・NNGは2016年5月18日、東京都内で会見を開き、同年3月に新たにCEOに就任したGiles Shrimpton(ジャイルズ・シュリンプトン)氏が経営方針を説明した。
ナビコアソフトとは、ナビゲーションの機能を統括/制御するナビゲーションコアソフトウェアのことである。NNGは、地図データなどのコンテンツやOSなどのソフトウェアプラットフォームを持たず、ミドルウェアに相当するナビコアソフトのみを提供するビジネスモデルを採用している。カーナビゲーションシステムのエンドユーザーは、NNGのナビコアソフトが使われているかどうかを意識することはない。そのカーナビゲーションシステムのブランドは自動車メーカーや車載情報機器メーカーのものになることから、自社のナビコアソフトを“ホワイトレーベル”と呼んでいる。
新CEOになったシュリンプトン氏は、Philips(フィリップス)やSiemens(シーメンス)で車載機器事業に携わった後、TomTomでPNDを中心とする自動車関連事業を立ち上げた人物だ。今やTomTomの自動車関連事業は約1億4000万ユーロまで拡大している。シュリンプトン氏は「グローバルのカーナビゲーション市場は、欧州、中国、米国を中心に大きく成長している。2014年の2800万台から2022年には7300万台まで増えるという予想もある。この拡大するカーナビゲーション市場を、ホワイトレーベルのビジネスモデルによって着実に取り込んでいく。開発が加速している自動運転システムにとってもカーナビゲーションは必須であり、成長の機会になると考えている」と語る。
NNGのナビコアソフトは従来型のセンターコンソールに組み込むカーナビゲーションシステムにのみ採用されているわけではない。間もなく国内市場に投入されるJaguar(ジャガー)ブランドの「XJ」や「XF」は、センターコンソールとメータークラスタ部の表示が連動する車載情報機器を採用しているが、ナビコアソフトはNNG製だ。国内市場で快適に利用できるようにするため、50点強の独自仕様を導入したという。「日本仕様だけでなく、中国、韓国、インド、イスラエルなど世界のさまざまな国や地域の特性に合わせた仕様を導入できるようにしている。それを可能にする開発体制も当社の強みだ」(シュリンプトン氏)。
同氏は「ナビコアソフトで2ケタ成長を続けられるだろう。しかし新CEOに就任した私の役割はNNGを次のレベルに持っていくことになる。そこで、詳細は明かせないが新しいプロダクトラインによってさらなる成長を図りたいと考えている」と述べている。
なおNNGの最初の顧客はトヨタ自動車で、2番目の顧客はRenault(ルノー)だったという。その2社を含めてグローバル展開する自動車メーカー10社のうち7社に採用されている。ルノーの新型車である「タリスマン」「カジャール」「エスパス」にも、NNGのナビコアソフトが採用されている。
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