製造業向けIoTプラットフォームを手掛ける米国ベンチャー企業のAyla Networks(エイラネットワークス)が、日本国内での事業展開を本格化させる。富士通ゼネラルが2016年上期発売予定のエアコンのIoTサービス開発に採用した事例をてこに、IoTトレンドによって急拡大する需要を獲得したい考えだ。
製造業向けIoT(モノのインターネット)プラットフォームを手掛ける米国ベンチャー企業のAyla Networks(エイラネットワークス)が、日本国内での事業展開を本格化させる。神奈川県の新横浜に日本オフィスを置き、マクニカやレブソニックといったパートナー、ルネサス エレクトロニクスや村田製作所などの技術パートナーと協力して、IoTトレンドによって急拡大する需要を獲得したい考えだ。
エイラネットワークスは2010年に創業したシリコンバレー発のベンチャー企業だ。同社CEOのDavid Friedman(デビッド・フリードマン)氏は「典型的なガレージスタート、キッチンスタートのベンチャーだった。創業当時は、今のようにIoTはあまりもてはやされていなかったが、今や製造業にとってIoTは必要不可欠なものになっている」と語る。米国以外にも中国と欧州に展開を広げており、日本は4番目の市場となる。従業員数も当初の6人から現在は150人になっており、さらに2016年末までに200人まで増員したい考えだ。
同社のIoTプラットフォームの特徴は「顧客のデバイスやサービスなどに合わせてコンフィギュラブルなところ」(フリードマン氏)だ。特にスマートホームやスマートビルディングのサービスのIoTを活用したいと考える製造業にとって、他社のPaaSやIaaSベースのIoTプラットフォームよりも早期立ち上げが可能だとする。
早期立ち上げが可能な理由としては、IoTデバイスとの通信を担う半導体/モジュールメーカーとの間でパートナーシップを組んでいる点が挙げられる。Qualcomm、Broadcom、STMicroelectronics、Mediatek、NXP Semiconductors、Marvell Technology Group、Flextronics、そして先述したルネサス、村田製作所など、IoTの通信に関わる有力企業のほとんどをカバーしている。フリードマン氏は、「当社のIoTプラットフォームであれば、これらの技術パートナーの半導体/モジュールを搭載するIoTデバイスを使ったサービスを、組み込みソフトウェアなどに大きな変更をくわえることなく立ち上げられる。同時にセキュリティも確保可能だ」と強調する。
その典型的な事例となるのが、日本での事業展開を始めるきっかけとなった富士通ゼネラルとのIoTサービス開発プロジェクトだ。同社が2016年上期に発売予定のエアコン「RLS3Yシリーズ」に、スマートフォンアプリを用いたリモート制御機能などを採用する。エイラネットワークスが提供するAmazon Web Service(AWS)ベースのIoTクラウドに加えて、スマートフォンアプリの開発でも協力した。
フリードマン氏は「IoTサービスの提供者側でデータをモニタリングするためのダッシュボードなども最適なユーザーインタフェースで提供している。顧客がIoTサービスを提供する上で、コーディングやDevOpsを行う必要はない」と述べている。
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