「整理・整頓」ができている会社は必ずもうかる!実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(11)(5/5 ページ)

» 2016年05月17日 11時00分 公開
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6.「看板作戦」は、モノの置き方の標準化である

6.1 「看板作戦」の目的は、「整頓」の定着

 「看板作戦」は、要るモノを使いやすいように、キチンと置き、誰にでも分かるように明示することで、「整頓」を定着させるための工夫であるといえます。4項の「赤札作戦」と、この「看板作戦」は、下図の関係にあります。

図2 図2 赤札作戦と看板作戦

6.2 看板作戦のポイント

(1)キチンと置く

 新人の人でも、どこに、何が、幾つあるかが分かるように置く。ベテランの人にしか分からないはダメ。“探すゼロ”が狙いではあるが、後々の多能工化の推進にも効力を発揮する。治工具やモノの置き方が標準化されていない状況での多能工化はあり得ない。

  • 置き場所に所番地を付けて、誰でもキチンと置けるようにする
  • どこに(場所)、何が(品目)、幾つ(量)あるかが分かる“仕組みづくり”
  • 「使う」ことよりも「戻す」ことに工夫の重点をおくことが重要である
図3 図3 モノの置き方

(2)明示する

 誰でも、目で見て分かるようにキッチリと表示して置く。具体的な事例は、図4を参照。

図4 図4 看板作戦による「整頓」の見える化

◇     ◇     ◇     ◇

 多くの企業が、すぐに「5S活動」に取り組むことを考えるようですが、結果として得たいことは「利益の確保」ではないでしょうか。まずそのことをスタートとして考えないために、ついつい「5S活動」そのものが目的になってしまうのです。

 そして、「5S運動」として考えるから、何が何でも“整理・整頓・清掃・清潔・躾”の全てを意味も分からずに実施しなければならないと考える。従業員の中に5つの“S”の5項目を即答できる人が何%いらっしゃるでしょうか。そのような状況で「5S活動」をうまく進めていけるとは、とても考えられません。

 “整理”と“整頓”を確実に進めていくことで相当の成果を得ることができますし、2つの項目であれば全員の納得も得やすいのではないでしょうか。さらに重要なのは、皆で決めたことは全員で守る、要らないモノとして捨ててしまった責任は全て責任ある管理者が負う、ということです。

筆者紹介

MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)

日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、および日本IE協会、神奈川県産業技術交流協会、県内外の企業において管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。




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