ドイツのFestoは、ハノーバーメッセ2016において、空飛ぶ球体にカメレオンの舌を持たせた不思議な「空中ハンド」を紹介した。
ドイツのFestoは、ハノーバーメッセ2016(2016年4月25〜29日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、空飛ぶ球体にカメレオンの舌を持たせた不思議な「空中ハンド」を紹介した。
バイオミメティクスなど最近は生体の動きを活用した機器開発などが注目を集めている※)が、Festoでは以前から「The Bionic Learning Network」という教育プロジェクトとして、生物の動きや生態を機械に取り入れる取り組みを推進。これまでも鳥やくらげ、ペンギンの動きに似せたロボットなどを開発してきた。今回は過去に開発した2つの取り組みを組み合わせた不思議な「空飛ぶ球体」を開発した。
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同技術で使われている技術の1つが、同社が「The Bionic Learning Network」の中で開発した「eMotionSpheres」である。空中にヘリウムガスを満たした球体を浮かし、ドローンなどで使われる制御技術やGPSなどを利用して自由に動かすことができる。8個のプロペラと超軽量炭素繊維リングで構成されている。このプロペラ技術にトンボの羽根の技術が使われているという。
もう1つが2015年のハノーバーメッセで出展した“カメレオンの舌”をイメージした「FlexShapeGripper」という技術である※)。水の入ったシリコンキャップを使い、このシリコンキャップの形状を内部のモーターと空気圧で調整し、さまざまな形状のものを自由につかめるという。メガネのような壊れやすく複雑な形状のものをそっと持ち上げることも可能である他、ナットを3つまとめてつかむというようなことも可能だ。
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これらの2つを組み合わせて実現したのが今回開発した「FreeMotionHandling」である。空中を自由に思い通りに動かすことができる「eMotionSpheres」と、何でもつかめる「FlexShapeGripper」により、自由に好きなものを離れていてもつかむことや運ぶことが可能となる。同技術は当然プロトタイプであり、商用化については未定だが、ドローンなどの制御技術と、産業用ロボットなどで利用するハンドリング技術などを組み合わせることで、「腕のない手だけが動く」というような製造現場なども実現できるかもしれない。
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