計画保全と品質保全で工程の信頼性と保全性を目指すいまさら聞けないTPM(4)(2/3 ページ)

» 2016年04月18日 11時00分 公開

計画保全の諸管理活動(10本柱)

(1)計画保全の7ステップ活動

 第1ステップ:現状把握/第2ステップ:劣化の復元改善/第3ステップ:仮基準書の作成/第4ステップ:品質機能の総点検/第5ステップ:点検整備の効率化/第6ステップ:予知保全の実践/第7ステップ:水平展開、の手順に従い設備モデルや部品モデルとして展開していきます。特に専門保全の立場から徹底的に故障を減らすために、故障解析に基づいた再発防止を図ります。

(2)自主保全の支援・援助活動

 自主保全7ステップ活動と合わせて、自主保全サークルリーダーへのPM教育や自主保全で指摘された設備不具合の対策、基準・標準などの作成支援、各種改善、保全関連技術支援・指導などを行い自主保全活動が円滑に進めるようバックアップをするものです。

(3)改良保全・MP活動

 設備の信頼性や保全性向上のために構造や材質を変更するといった改良保全を行い、その内容を将来の設備開発に生かすためにMP(Maintenance Prevention)情報として、源流へフィードバックし、エンジニアリングスタンダードにつなげていくものです。

(4)寿命延長化技術の研究

 改良保全にもつながりますが、作動油や潤滑油管理を中心として摩耗を抑制し、長寿命化を研究します。

(5)予知保全体制づくり

 設備診断技術を習得し、機能の限界時期(残存寿命)を予知することによって、交換の最適なタイミングを研究します。

(6)保全作業の計画と管理

 保全基準書と保全カレンダーに基づいた計画保全のための仕組みづくりを行います。

(7)保全情報管理体制作り

 予防保全に役立つ設備の保全記録や故障解析のためのデータベース、計画保全のスケジュール管理や図面管理を整備します。

(8)予備品管理

 計画保全のために、補修用の予備品を在庫管理し、的確な供給を維持するとともに過剰在庫を防ぐ活動になります。

(9)保全作業の効率化

 高度な保全技能を習得し、修理時間の短縮を図るとともに、クリティカル作業を明確にして整備の効率化を実践し、さらに技能習得のための訓練や教材開発を行います。

(10)保全費管理

 保全に要する費用(事後保全費、改良保全費、予防保全費、外注費など)を精査し、さらなる経済性を追求します。

保全方式の種類

 全設備の故障・不良ゼロは理想ではありますが、いきなりできるものではありません。生産上(P)、品質上(Q)、原価上(C)、安全上(S、E)からの観点で設備を評価し、重要度ランク分け(格付け)を行い、その上で以下の保全方式を選択するかを決定することが第一歩になります。

予防保全(PM:Preventive Maintenance)

 設備の予防医学ともいえます。設備の健康状態を維持し、病気(故障)にならないように、劣化防止のための日常保全、定期検査・設備診断・劣化回復ための整備を行います。そのやり方は次の3つに分類されます。

  • a)定期保全(TBM:Time Based Maintenance):その設備の劣化に最も比例するパラメータで周期を決めて、周期まで使用したら無条件での修理
  • b)予知保全(CBM:Condition Based Maintenance):設備の劣化状態を、各測定でデータとその解析によって定常または定期的に把握し、劣化を示す値があらかじめ定めた劣化基準値に達したら修理
  • c)オーバーホール(IR:Inspection and Repair):設備を定期的に分解・点検し、その時点で良否を判断して不良のものは交換

事後保全(BM:Breakdown Maintenance)

 設備が故障してから(機能停止)復旧工事をやるやり方です。原則的には事前に予測できるものを対象。

改良保全(CM:Corrective Maintenance)

 設備の保全性、信頼性を向上させるための改善、故障の再発防止、寿命延長、保全時間短縮、生産性向上のための改良など広範囲の設備改善。

保全予防(MP:Maintenance Prevention)

 保全性、自主保全性、などを新しい設備づくりに反映させる活動。

 これらの保全方式の選択や併用で経済的で信頼性の高い、安定・安全な設備・プラントに仕上げていくことになります。

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