ホンダは、「フィット」の排気量1.3l(リットル)エンジンモデル、「ヴェゼル」の排気量1.5lエンジンモデルのリコールを提出した。対象は合計で16万4388台。フィットとヴェゼルは、ハイブリッドモデルに加え、これまで問題の少なかったガソリンエンジンモデルにもリコールが拡大したことになる。
ホンダは2016年4月4日、小型車「フィット」と小型SUV「ヴェゼル」のリコールを国土交通省に提出した。対象となるのは、フィットが排気量1.3l(リットル)エンジンモデルで2013年8月〜2015年8月に製造した11万8715台、ヴェゼルが排気量1.5lエンジンモデルで2013年12月〜2016年2月に製造した4万5673台。合計で16万4388台となる。
リコール原因は、アイドリングストップシステムの電力源となるキャパシタの充放電電圧を制御する昇降圧充放電コンバータの内部素子にあった。この内部素子の過電流保護が不十分なため、アイドリングストップの状態から再始動する際などに生じた過電流が昇降圧充放電コンバータへ流れ、内部素子が損傷することがある。そのままの状態で使用を続けると素子が発熱するとともに素子周辺の樹脂材が炭化して電流が流れ続けて発煙/発熱することがある。最悪の場合、火災に至る恐れがあるという。
市場での不具合発生件数は59件。市場からの情報で発見された。事故は、火災が2件、部分焼損が4件発生している。
改善措置は、リコール対象となる全車両で、問題になっている昇降圧充放電コンバータを対策品と交換する。

 「フィット」「ヴェゼル」の不具合発生箇所(左)。日本ケミコンが「CEATEC JAPAN 2013」で展示した、フィットのアイドリングストップシステムの電力源となるキャパシタユニット(右)(クリックで拡大) 出典:国土交通省
「フィット」「ヴェゼル」の不具合発生箇所(左)。日本ケミコンが「CEATEC JAPAN 2013」で展示した、フィットのアイドリングストップシステムの電力源となるキャパシタユニット(右)(クリックで拡大) 出典:国土交通省フィットの排気量1.3lエンジンモデルについては、もう1種類のリコールも提出されている。
このもう1つのリコール原因は、電動パワーステアリング(EPS)の制御コンピュータのEPSアシスト停止電圧設定にあった。EPSアシスト停止電圧の設定値が不適切なため鉛バッテリーが劣化していると、大きなステアリング操作時に鉛バッテリーの電圧がEPSアシスト停止電圧以下になることがある。このため、EPS警告灯が点灯するとともにパワーステアリングのアシスト機能が停止し、急にハンドルの操作力が増大する恐れがある。
市場での不具合発生件数は32件。市場からの情報で発見された。事故は物損が2件発生している。
改善措置は、リコール対象となっている全車両で、電動パワーステアリング制御コンピュータとエンジン制御コンピュータを対策プログラムに書き換える。
2013年9月発売の3代目フィットと同年12月発売のヴェゼルについては、これまで1モーターのハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」を搭載するハイブリッドモデルで頻発していた。その一方で、キャパシタを電力源とするアイドリングストップシステムを用いるガソリンエンジンモデルは不具合が少なく、フィットとヴェゼルのグローバル展開の中核をも担っていた。今回のリコールは、3代目フィットとヴェゼルの抱える品質問題がハイブリッドモデルにとどまらないことを示唆している。
なお、2015年5月発売のステーションワゴン「シャトル」からは、昇降圧充放電コンバータの体積当たりの出力を50%向上した住友電装製に変更している。
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