ホンダは、ハイブリッド車「フィット ハイブリッド」と「ヴェゼル ハイブリッド」、軽自動車「N-WGN」と「N-WGN Custom」のリコールを国土交通省に提出した。フィット ハイブリッドのリコールは2013年9月の発売から5回目。今回の不具合原因はハイブリッドシステムとは無関係だという。
ホンダは2014年10月23日、ハイブリッド車「フィット ハイブリッド」と「ヴェゼル ハイブリッド」、軽自動車「N-WGN」と「N-WGN Custom」のリコールを国土交通省に提出した。対象となるのは、2013年6月〜2014年10月に製造した42万5825台。内訳は、フィット ハイブリッドが24万7571台、ヴェゼル ハイブリッドが7万3930台、N-WGNとN-WGN Customが累計で10万4324台。
2013年9月にフィット ハイブリッドを発売して以降、同社の小型車向けハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD(以下、i-DCD)」を搭載する車両が関係するリコールは、2013年10月、同年12月、2014年2月、同年7月に次いで5回目となる。不具合の原因は、1〜3回目がi-DCDの7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の制御プログラム、4回目がモーターの制御プログラムだった。
5回目の今回は、i-DCDとは無関係であり、2種類の部品で電気ノイズに対する対策が不足していたことが不具合原因となっている。1つは点火コイルで、内部の電気ノイズを除去する雑防抵抗の構造が不適切なため、点火時の通電によるアーク放電により、雑防抵抗の端末部が断線するものがある。このため、点火コイルの出力が不足してエンジンが不調となり、エンジン警告灯が点灯する恐れがある。また、点火時に発生するノイズにより燃料噴射装置が正しく制御できず、エンジンが停止する恐れがある。
もう1つは電源供給回路だ。電気ノイズに対する保護が不十分なため、車両の電装部品から発生するノイズの影響により電源制御ユニットが誤作動することがある。このため、エンジン制御コンピュータなどに電源を供給するリレーが作動せず、走行中にメータパネルが消灯し、エンジンが停止する恐れがあるという。
市場での不具合発生件数は、1つ目の不具合が571件、2つ目の不具合が78件。事故は発生していない。
改善措置は、1つ目の点火コイルについては対策品と交換する。2つ目の電源供給回路はノイズフィルタを追加する。
ホンダは、5回目となったフィット ハイブリッドのリコール提出に合わせて、品質保証体制の強化と、役員報酬の一部返上を発表した。
品質保証体制の強化では、ホンダの四輪事業本部内に品質問題再発防止施策の実行責任者となる執行役員を配置する。2014年11月1日付けで、専務執行役員 四輪事業本部 第一事業統括を務めている福尾幸一氏が、専務執行役員 四輪事業本部 品質改革担当に就任し、全社の品質保証体制改革を横断的にリードする。福尾氏は、本田技術研究所の副社長を兼務し、技術・商品開発プロセスにおける品質保証体制を強化する役目も担う。
ホンダは、発売から約1年で5回目となった「フィット ハイブリッド」のリコールの原因について、「モーターとエンジンを組み合わせて制御するシステムの開発過程において、さまざまな使い方を想定した検証が不十分だった」と説明しており、「今後は、技術・商品開発および量産移行段階において、さまざまな使い方を想定した検証をより一層強化していく」(同社)としている。
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