そのサイズダウンは誰のため? オムロンが制御盤革新に向け952機種を刷新FAニュース(2/2 ページ)

» 2016年03月15日 06時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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統一コンセプト製品の開発

 オムロンが提案する新コンセプト製品群は「3つのP」をコンセプトとして開発したという。1つ目が制御盤のさらなる進化を目指す「Panel」、2つ目が設計や製作プロセスに革新をもたらす「Process」、3つ目が人に“易しさ”と“優しさ”をもたらす「People」である。

 新製品群は、高さや縦幅などを統一した「統一スリムデザイン」を採用。さらに放熱スペースなしでも問題なく機能する「55度密着取り付け」対応としている。これらにより制御盤内のスペースを有効活用し、余剰スペース拡大や、制御盤の小型化などに貢献可能だ。

 同社ではこれらの新製品群を展開するために、ポイントとなる顧客に先行的に新製品を提供し効果などを測定していたが、例えば、統一サイズ機器の活用では、制御盤全体の体積を約30%削減することに成功した他、デッドスペースを80%削減した例などもあるという。また、制御盤では、放熱性なども向上させられる他、カスタムに対応する余剰スペースの確保なども実現可能だ。

プッシュインPlusで配線工数60%削減

 さらに、差し込むだけで配線可能なプッシュイン端子を進化させた「プッシュインPlus」端子台を採用。イヤフォンジャックを差し込むような感覚で強く押しこまなくても簡単に配線できる一方で、従来のねじ式端子台と同等以上の電線保持を実現。その他、より線への対応や両手作業が可能な点なども特徴である。新コンセプト製品は全モデルでフロントでのイン/アウトとしており、前面からまとめて操作しやすい形状となっている。またプッシュインPlus端子台はねじを採用していないため、ねじの緩みによる増し締めなども不要である。

 設計工程の効率化も可能だ。主要な電気CADである、図研の「E3シリーズ」やドイツのEPLANの「EPLAN」、ワコムの「ECAD dio」などに部品ライブラリを提供。既に6000機種以上搭載しており、設計工数はこれにより30〜50%削減可能だ。さらにケーブル製作図だけであれば50〜70%の削減にもつながるとしている。ライブラリ部品についてはオムロンが同年4月にオープン予定のWebサイト「Panel Assist Web」から電気CAD用のデータとしてダウンロード可能。データの再活用や変更管理などが容易になるという利点を持つ。

photo 設計プロセス革新のイメージ 出典:オムロン

オムロンだからできること

 これらの制御盤全体を通した製品群を一斉提供できるのは、オムロンがFA関連で幅広い製品群を持っているということが最大の理由である。辻永氏は「幅広いFA機器を展開するオムロンだからこそ、制御盤全体を最適化するような『盤ソリューション』が展開できる。制御盤に新たな価値をもたらし、効率化を実現するとともに、オムロン製品群の差別化のポイントとしていきたい」と述べている。

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