「CEATEC JAPAN」で2年連続で登場し注目を集めるオムロンの「卓球ロボット」。スポーツロボットを販売するわけではないオムロンがなぜ卓球ロボットの進化を追求するのか。同社がFA領域で実現したい将来像について考察する。
オムロンは「CEATEC JAPAN 2015」(2015年10月7〜10日、幕張メッセ)で、2年連続で「ラリー継続卓球ロボット」を出展し、大きな注目を集めた。卓球ロボットの進化については「オムロンの卓球ロボットは“寄り添う”から“支援する”へと進化した」で紹介しているが、本稿では同社がこのロボットで描く、FA領域の進化について紹介する。
オムロンのラリー継続卓球ロボットは、ロボットが自動で判断し人と卓球を続けることができるというものだ。これには、向かってくるボールがどこに飛んでくるのか、また相手はどこにいるのかという認識と、その情報を基にラケットをコントロールするというような動作が必要となる。2015年版では、ボールの回転なども考慮しより高精度なボール軌道予測を実現した。
さらに人が打ち返した瞬間に向かってくるボールの軌道を予測、同時に打ち返すコースを決定し、それを卓球台に表示して人に示す機能を追加している。これにより、卓球が苦手な人でも「どこにボールが返って来るか」が把握でき、待ち構えて打つことができるため、トレーニングなどにも役立つというものだ。同社では2015年版のロボットを「コーチングロボット」として、人の能力を引き出すものだと訴えている。
ただ、オムロンはスポーツトレーニング用のロボットを作りたかったわけではない。実際に「卓球ロボットを売り出す予定はない」(ブース担当者)。オムロンは製造装置やロボットの制御機器および制御技術などで高い評価を受けている企業だ。それではオムロンが訴えたかったことは何だろうか。他の展示も含めて見てみよう。
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