DMG森精機、最大生産拠点の現場デジタル化と工程集約メイドインジャパンの現場力(1/2 ページ)

本稿では、DMG森精機の伊賀事業所における、複合加工機やAMRを活用したボールねじ製造の工程集約と、製造支援プラットフォーム「TULIP」とデジタルゲージを連携させた検査自動化の事例などを紹介する。

» 2026年07月16日 07時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 DMG森精機は、同社最大の生産拠点である伊賀事業所(三重県伊賀市)において、キーコンポーネントの内製化による品質向上と、製造現場のデジタル化を強力に推進している。本稿では、2026年7月3日に報道陣に公開された、複合加工機やAMR(自律型搬送ロボット)を活用したボールねじ製造の工程集約と、製造支援プラットフォーム「TULIP」とデジタルゲージを連携させた検査自動化の事例などを紹介する。

グループ最大拠点、伊賀事業所で進めるMX

 DMG森精機がグローバルに持つ18の生産拠点の中で、伊賀事業所はグループ最大の生産拠点となっている。

 敷地面積57万8000m2、建屋床面積は14万5760m2という広大な面積を誇り、敷地内には部品加工や組み立てだけでなく、板金や主軸、ボールねじの内製工場などが一箇所に集約されている。

約58万m<sup>2</sup>の敷地面積を持つDMG森精機の伊賀事業所 約58万m2の敷地面積を持つDMG森精機の伊賀事業所[クリックで拡大]出所:DMG森精機

 全世界で生産される195機種のうち、複合加工機や5軸加工機、ターニングセンタ、マシニングセンタ、ターニングセンタベースの金属3Dプリンタなどを生産している。伊賀事業所で作られた工作機械の一部は、約1時間離れた奈良事業所に送られ、そこでロボットやガントリーシステムなどの自動化システムが短期に構築される。

 伊賀事業所で作られた主軸の「MASTERシリーズ」や刃物台「turretMaster」、ツールチェンジャー「toolSTAR」といったキーコンポーネントは、グローバルの生産拠点に供給されている。

 DMG森精機が掲げる「MX(マシニングトランスフォーメーション)」では、今、DMG森精機製を含めて全世界で稼働している約500万台の工作機械を2030年までに約100万台に集約し、年間稼働時間1500時間から6000時間まで伸ばすことを目指している。

DMG森精機の下川勝久氏 DMG森精機の下川勝久氏

 DMG森精機 副社長 執行役員の下川勝久氏は「年間6000時間という稼働に耐え得る品質を確保し、市場で起きた問題を素早く改善して信頼性を高めるために、カギとなる部品の内製化に力を入れている。その結果、ターニング主軸『turnMASTER』、刃物台『turretMASTER』、ヒューマンマシンインタフェース『ERGOline X』の保証期間を3年から5年に延長させることができた」と話す。

 伊賀事業所でも工程集約を図っている。その1つが、工作機械に使われるボールねじの製造工程だ。ボールねじはモーターの回転運動を直動運動に変換する役割を持ち、ねじ溝有効径の精度とねじ軸のピッチ精度が重要になる。伊賀事業所では、サイズなどに応じて100種類、月間1100本のボールねじを生産している。

 従来は荒研削や仕上げ研削、ねじ溝研削など5工程に分かれ、それぞれを担当するオペレーターが計6人必要だった。リードタイムは4日、中間在庫は170本に上った。

 これを、DMG森精機の複合加工機「NTX 2500」「NTX 1500」を計5台導入することで、主にシャフト長1m以下のボールねじに関しては、1台で荒加工からねじ溝研削まで可能になり、従来の5工程を1工程に集約した。また、ワークの着脱は同社のAMR「WH-AMR 10」が行うことで、さらなる省人化や長時間の無人運転を図った。

右側の「WH-AMR 10」がストッカーに置かれた角ナットやフランジ、シャフトを複合加工機に自動で供給する 右側の「WH-AMR 10」がストッカーに置かれた角ナットやフランジ、シャフトを複合加工機に自動で供給し、加工後のワークをストックする[クリックで拡大]

 オペレーターは2人に減り、中間在庫は0本になった。リードタイムは80分に短縮された。なお、シャフト長1m超〜2.5m程度のボールねじについては、同社の複合加工機「NTX 3000 | 3000」とモジュール式ロボットシステム「MATRIS」を活用した自動化システムを立ち上げ中だ。

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