DMG森精機は2022年12月期通期(2022年1〜12月)の決算を発表した。連結受注額は過去最高を記録した。
DMG森精機は2023年2月8日、オンラインで記者会見を開き2022年12月期通期(2022年1〜12月)の決算を発表した。
2022年12月期通期の連結受注額は前年比19%増の5424億円と過去最高になった。1台当たりの平均単価が4980万円(前年度3940万円)へと上昇したことなどが寄与した。DMG森精機 代表取締役社長の森雅彦氏は「為替の影響もあるが、同時5軸加工機や複合加工機による工程集約、ロボットやパレットハンドリングによる自動化、それらを実現するためのCAD/CAM、計測ソフトウェア、MES(Manufacturing Execution System)などによって高価格なシステムが受注でき、さらに値引き率も下げてこの単価を達成した」と話す。
売上高は前年比20%増の4748億円だった。営業利益は同79%増の412億円、当期利益は同89%増の254億円でいずれも過去最高を達成した。2022年にグローバルで給与改定を行い、人件費が118億円増加するなどしたため、同年に上方修正した営業利益の見込み450億円には達しなかった。
業種別の受注では宇宙、航空機、医療、EV(電気自動車)、エネルギー関連などでの需要増が貢献した。「米国でロケットが週に1、2本のペースで打ち上げられている。それらのほとんどの製造にわれわれの機械が使われており、設備増強の話が来ている」(森氏)。
地域別の受注では米州、中国で過去最高になった他、欧州、アジア(中国以外)が過去のピーク水準に並んだ。2023年の直近の状況について森氏は「一番伸びているのはアジアだ。中国で生産していたものをインドなどに移管したり、欧米の会社がベトナム、マレーシアで生産を増強したりしている。オーストラリアに欧米の航空宇宙や半導体の仕事が来ている他、インドネシアでようやく5軸加工機も売れるようになった。今の感覚では2023年は思っていたほど悪くはないのではないかと感じている」と説明する。
2022年第4四半期の連結受注額は前年同期比5%減の1104億円だった。「受注のピークは過ぎているが、リセッションではなく、やや投資が慎重になっている。現在の引き合いの状況を見ても、リーマンショックやコロナ禍のように大きく減ってはいない」(森氏)。
2023年12月期の業績見通しは、連結受注額が前年比7.8%減の5000億円、売上高は同5.3%増の5000億円、営業利益は同21.3%増の500億円、当期利益は同26%増の320億円とした。「2022年12月末で受注残高が2540億円あり、そこにスペアパーツやサービスで約1200億円、グループ会社の売上が約500億円上積みされる。2023年1、2月の受注を見ても達成は固い」(森氏)。
2023年から始まった中期経営計画では「MX(マシニングトランスフォーメーション)」を掲げ、最終年度となる2025年度に売上高6000億円、営業利益720億円、当期利益480億円を目指す。森氏はMXについて「工程集約、自動化を通して、GX(グリーントランスフォーメーション)を実現する。GXはCO2の削減だけでなく、世界中の製造現場から不要な仕掛品、中間在庫を減らし、リーンな生産によって世界の省資源化につなげていく」と意気込む。
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