近年は製造現場のデジタル化にも力を入れている。そこで活用しているのが、米国企業Tulip(チューリップ)Interfacesが開発した製造支援アプリケーション作成プラットフォーム「TULIP」だ。DMG森精機は2019年に資本、業務提携しており、伊賀事業所にも導入している。
工作機械1台を完成させるまでには、短い機種でも約20工程、20日間(200時間)ほどの長いプロセスとなっている。大量生産される自動車の組み立て作業のように分単位で同じ作業を繰り返すラインとは異なり、工作機械は同じ機種であっても顧客のニーズによってオプションなどの仕様が細かく異なるため、機械ごとに作業要領が変わる。
下川氏は「TULIPが上位のシステムからそれらの受注データを受け取り、それぞれの機械の仕様に合ったデジタル作業手順書を自動的に作り、それを見ながら作業する形になっている」と語る。さらに、作業者のスキルレベルに応じて手順書の表示内容を変える工夫も行われている。
こうした中、2025年から行っているのが、TULIPと連携したデジタルゲージによる自動計測だ。
グループ会社であるマグネスケールのデジタルゲージ「DS805SR」と無線機能付きデジタルインジケーター「μMATE+(ミューメイトプラス)」を使った機械精度の倣い計測を実施。測定結果は人を介さず自動的にTULIPに送られ、合否判定まで行われる。デジタルゲージの繰り返し精度は0.1μmとなっている。
従来は、てこ式ダイヤルゲージを用いており、測定結果を目視で確認していたため、測定値の読み間違いや記入間違いの可能性があった他、人が機内に入り測定する作業が生じていた。また、てこ式ダイヤルゲージの繰り返し精度は1μmだった。
電動トルクレンチの締め付けトルクのデータもTULIPに自動記入されている。一部の横型マシニングセンタでは、41項目の機械精度測定のうち38項目で自動計測を実施している。これらの取り組みによって、手書きによる記入ミスや改ざんを防ぎ、品質保証と作業負荷の大幅な軽減を実現している。
組み立て現場ではスマートフォンやタブレット端末で作業の着完情報など入力しており、組み立て中の機械の前に置かれた電子ペーパーで進捗状況や品質情報をモニタリングできる。
「予備品の手配や定期的な部品交換、次シフトへの引き継ぎなど、TULIPは現場で起こるあらゆるイベントのデジタル化が可能となっている。加工現場でも、工具の寿命や折損の有無、在庫/調達の状況などの管理に使っている。従来はシステムが別々で人が介在して回していた。TULIPはデータ連携が一番得意だ。必要なデータを全てつなげて、必要な部署が必要な時に使えるようになった」(下川氏)
DMG森精機の欧州市場「深耕」青写真、フロンテン工場のモノづくり深化
人材育成から検査自動化、脱中国まで――DMG森精機欧州最大生産拠点の展望
超大型加工機9台が3台に、DMG森精機が新設の第3精密加工工場が見せた工程集約
AGV+協働ロボットでツール搬送を自動化、デジタル人作業支援も行うDMG森精機
工作機械の間をAMRが行き交う無人ライン、シチズンが見せた未来のモノづくり
アマダが製造DXの加速で生産能力増強、変動に強い生産体制へCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Factory Automationの記事ランキング
コーナーリンク
よく読まれている編集記者コラム