「Lite」で普及の兆しを見せる「ECHONET」、波乱万丈の20年史と今後の課題 : IoT観測所(18) (1/4 ページ)
国内HEMSの標準プロトコルとなり電力自由化の後押しもあって、普及の兆しが見える「ECHONET Lite」だが、前身のECHONETを含めると苦難の連続といえる。その歴史を振り返り、現状の課題を確認する。
前回はWi-SUNをご紹介したが、その中でWi-SUNが上位プロトコルとして「ECHONET Lite」を採用していると説明した(IoT観測所(17):日本発の無線規格「Wi-SUN」、国際展開への飛躍を阻む4つの問題) 。そこで今回はそのECHONET Liteとその元になったECHONETを紹介したいと思う。
「ECHONET(Energy Conservation and HOmecare Network)」は名前の通り、家庭内機器をつなぐための一種のバスとして制定された規格である。この規格を制定しているのは「エコーネットコンソーシアム」であるが、同団体の前身にあたるのは1996年10月〜1997年5月に行われた「21世紀のホームネットワークのあり方に関する調査研究委員会」である。
これは通商産業省(当時)から電気・家電業界に対して次世代ホームネットワークに関する研究委託が行われたことで発足したもので、この委員会は最終的に設備系ネットワークの開発、それと仕様の国際標準化を勧告した。
勧告を実現すべく、主幹事4社(松下電器産業、日立製作所、東芝、三菱電機。後に東京電力とシャープが加盟)が立ち上げたのがエコーネットコンソーシアムだ。最初の規格であるVersion 1.0は2000年3月に会員内にて公開(一般公開は同年7月)され、その後2001年にはVersion 2.00、2002年8月にはVersion 3.00が公開され、最新版のVersion 3.12は2003年5月に公開されている。
このECHONETは国際標準化に関しても進められ、最終的には2009年に「ISO/IEC14543-4-1」及び「ISO/IEC14543-4-1」として標準化されたものの、全くといって良いほど利用されなかった。なぜか?という話は後で説明するとして、Photo01はそのECHONETの利用イメージである。AVC系は別系統で、主眼は設備系ネットワークである。
Photo01:ECHONETのリーフレット( http://echonet.jp/pamphlet/ )より抜粋。ただその設備系の中にいわゆるエネルギー管理系だけでなく、防犯やヘルスケアまで混在しているのは正直どうか?という気がする
その設備系ネットワークであるが、ECHONETを利用する事で
エネルギーマネジメントサービス(電気使用料や電気料金モニター、空調機器類の協調省エネ運転、契約電力デマンド制御)
快適生活支援サービス(ブラインドやHAVCの集中操作、宅内機器のスケジュール運転)
ホームセキュリティ(防火・防災・防犯)
ホームヘルスケアサービス(健康管理・高齢者生活ケア・宅内医療機器監視制御)
機器リモートメンテナンス(遠隔故障診断/保守・遠隔コンサルタント)
モバイルサービス
が可能になるという触れ込みであるが、正直言って、ここで大風呂敷を広げすぎた感は否めない。
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