ボルボ・カー・ジャパンがSUV「XC90」の新モデルを発売した。同モデルは交差点を右折する際の対向車を検知する世界初の自動ブレーキ「インターセクション・サポート」を全車に標準装備。また、新型XC90はボルボ・カー・ジャパンとして初導入するプラグインハイブリッドモデルとなる。
ボルボ・カー・ジャパンは2016年1月27日、SUV「XC90」の新モデルを発売した。新型XC90は交差点を右折する際の対向車を検知する「世界初」(ボルボ・カー・ジャパン)の自動ブレーキ「インターセクション・サポート」を全車に標準装備している。直進する対向車両の速度や距離を検知し、衝突する可能性があると自動ブレーキが作動する。
新型XC90はVolvo Cars(ボルボ)のフラッグシップモデル。110億米ドル(約1兆3000億円)を投じて「60シリーズ」や「90シリーズ」向けに新開発したプラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー」(SPA)を適用した第1号車となる。
60シリーズ/90シリーズでプラットフォームを共通化することにより、開発コストの削減につなげる。新プラットフォームの採用により、新型XC90は先代XC90から120kgの軽量化を実現した。
新型XC90はガソリンエンジンの3モデルとプラグインハイブリッドモデル「T8 Twin Engine AWD Inscription」が設定されている。新型XC90はボルボ・カー・ジャパンが導入する初のプラグインハイブリッド車となる。排気量2.0l(リットル)のスーパーチャージャー付きガソリンエンジンとモーターを組み合わせており最高出力は300kW、最大トルクは640Nm。モーターだけで走行できる距離(EV走行距離)は35.4kmで燃費はJC08モードで12.8km/lとしている。
国内では、ガソリンエンジンの3モデルを含めた新型XC90の販売全体の1割前後がプラグインハイブリッドとなる見通し。
交差点は重大な事故が発生しやすい。交通事故に占める交差点での事故の比率は、米国で21.5%(2007年)、スウェーデンを除くEU加盟国では20.6%を占める。前方車両が交差点を左折(日本では右折)した後に続いて漫然と左折すると、対向車両との思わぬ衝突につながってしまう。
ボルボは2020年までにボルボ車による死傷者ゼロを目指している。交差点の対向車両の検知に対応した自動ブレーキを搭載することにより、ドライバーの不注意をカバーするだけでなく、他の車両の安全も確保しようとしている。
交差点の対向車に対応した自動ブレーキ「インターセクション・サポート」が実現したのはソフトウェアの進化が大きい。道路を横断する場合や交差点でブレーキが必要な状況などに関するデータの蓄積や解析が進展し、自動ブレーキを作動させるべき状況を高度に判断することが可能になった。カメラとレーダーの性能向上も貢献している。
左折待ち(日本では右折)の状況では四輪車と二輪車を認識し、その他の状況では自転車や歩行者にも対応して自動ブレーキが作動する。
センサーとして、カメラと中/長距離を検知する2つのレーダーを一体化した「ASDM」(アクティブ・セーフティ・ドメインマスター)をフロントガラス上部に装着している。カメラは水平視野角52度、中距離用レーダーは30度の範囲で最大40mまで、長距離用レーダーは10度の範囲で最大200mまで検出可能だ。
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