日立が描く第4次産業革命とは?SCF2015 基調講演(4/4 ページ)

» 2015年12月24日 09時00分 公開
[長町基MONOist]
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イノベーション創出に貢献するデータドリブン

 イノベーションの創出に向けては、つながることでイノベーションが生まれ、全体最適、社会全体の共生へと進むことが求められる。現場の本質的な課題を把握して(利用者ニーズを探る)オープンなデータ連係環境(集めたデータを自在に取り扱う)人口知能(AI、データを分析し仮説を提示)などが必要となり、セキュアな環境でデータをナレッジまで高めて、価値創出を支援している。業務現場を観察し、利用者の潜在ニーズや本質的課題を明確化し、共有、ソリューションへつなげることが必要となる。

 また、新たなサービスのためのアプリケーションを自在に生み出せる環境を実現させるため、日立では共生自立分散プラットフォームの構築を進めている。この中には利用者とデータを共有することでオープンな実行・開発環境を得ることができる。

photo IoTによる価値創出と求められるツールや技術(クリックで拡大)※出典:日立製作所

 ソフトウェアでは日立の子会社、日立データシステムズ社が2015年5月に買収したPentaho社が提供するソフトウェア「ペンタホ」を用いたビッグデータ利活用のシステム導入サービスを10月から販売開始した。ビッグデータ利活用の最適な手法を導き出すための技術支援を行う「データ利活用トライアルサービス」とペンタホをインストールしたシステム検証環境をクラウドで利用できる「データ利活用検証支援サービス」を提供している。ビッグデータ利活用における手法の試行・検証や検証結果の可視化・評価に関する技術支援を、それらを実行するための検証環境を合わせて提供することで、事前検証に伴うユーザーの初期投資や作業コスト・負担を軽減する。

photo オープンデータ連携のカギを握るペンタホ(クリックで拡大)※出典:日立製作所

 人工知能(AI)では、Hitachi AI Technologyの開発を進めている。ここでは全体目標(KPI)に対する実績推移と現場データ変化の相関を自動分析し、人間が発見困難なKPI向上仮説を提示することを目指している。具体的には入力データを用い複合指標自動生成して、その中にある相関指標を抽出しながら、確信度の高いKPI向上仮説を提示していく。

 センサー技術、AIの発達は人間の行動分析や新たな価値発見を可能にする。例えば流通業では店員ホットスポットの発見により顧客単価が15%向上したり、コールセンターでは生産性を上げる休憩法の発見により13%の受注率向上につながったりした例がある。

photo 人工知能の可能性の拡大(クリックで拡大)※出典:日立製作所

 セキュリティについてはさまざまなシステムが連携する中で、日立ではサイバー・フィジカル連係した多重多層のセキュリティを推進している。攻撃者がもつ攻撃スキルに対抗できる多層防衛力が必要で、攻撃スキルレベルに応じた防衛策を3軸で実現し生産ライン、製品、会社を守る仕組みを構築している。

photo IoT時代に必要なセキュリティ技術(クリックで拡大)※出典:日立製作所

 今後の展望としては「これからのモノづくりの革新の先にあるのは、より幅広い企業や、業種、産官学、国や地域の枠や壁を乗り越えたアプローチが必要となる。メガトレンドを生み出す、相互に複雑化して相互に関連しあう社会課題に対してイノベーションで解決するには1社では難しい。そのためオープンイノベーションとして皆さんと一緒に課題解決に取り組んでいきたい」(齊藤氏)と講演の参加者に呼び掛けた。

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