―― ただ35mmフルサイズとなると、もう一眼カメラしか使い道がないことになりますよね。
大場 それは今後の可能性という話になりますけど、可能性はあるなと思ってるんですね。例えばこれから産業用途でいいますと、監視カメラ。まだフルサイズの監視カメラってのはないと思いますけど、ソニーでは1インチの監視カメラを先日発表しました。
監視カメラのように暗いところできちっと画像を撮って自動認識をしようとした時に、高感度というのは絶大な価値を生みます。私もいろんなところでα7Sのサンプル画像やカメラを持って話をするんですけど、可能性はデジタル一眼以外にもあると思っています。
―― 監視カメラって35mmになる必要があるんですかね? 多彩なレンズが使えるというメリットはあるかもしれませんが…。
大場 今そういう製品はないと思うんですけど、市場のトレンドとしてはセンサーが大きくなる傾向にあります。監視カメラはこれから「全部撮って必要なところを切り出す」方向になっていくと考えています。そうすると非常に広角で高解像度の監視カメラ、あるいは一つの筐体にたくさんカメラをつけるという形が出てきたりすると。
潜在的には高解像度と高感度というのがどんどん広がってきて、不審者の顔はしっかり捉えるんだけど、サーバやトラフィックには負荷をかけない、顔の画像だけ切り出して送るみたいなのが常識になっていく。そうなると、大型センサーというのは価値がどんどん増えていくと想定しています。
―― 高画素化ということで言えば、映像業界では2020年には8Kをなんとかしろということもあります。ただ8Kになったからといって、センサー的には35mm以上になるかというと、今更それ以上のイメージサークルのレンズは作られないだろうと思うんですね。そうなると、マックスは35mmで8Kの画素数で、しかも全画素読み出しが必要になります。今「α7R II」に搭載されたExmor Rだと、全画素読み出しはAPS-Cサイズじゃないとできませんが、これはもう先は見えているんでしょうか。
大木 はい。われわれは高速性を進化の軸に据えてるということと、CCDの頃から培っている画素構造、ウエハー構成技術、そこはどんどん進化させていきますので。今後半導体をベースにした技術で、イメージセンサーとして作れないものはないんじゃないかと思っています。
大場 多分ボトルネックって、他にくるんですよ。例えばわれわれのセンサーはもう2012年ぐらいには4Kがレディでしたので、センサーだけでいえば4Kは技術的にはもっと早く可能だったわけです。ただボトルネックが、まず後段の画像処理プロセッサーに来ます。
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