―― Exmor Rが高感度センサーということで商品が出てきた時に、これは小型のほうがメリットがあるといわれていました。一方で大型センサーはそもそも画素が大きいので、裏面照射は必要ないといわれていました。それが1インチ化したのが、2013年の「RX100 II」。そして2015年「α7R II」で35mmフルサイズのExmor Rがでてきました。小さい方にメリットがあるという話が変わってきたのは、何かきっかけがあるんでしょうか?
大木 カメラに実際に搭載されたものだけで見ると、一気にジャンプアップしたような印象を受けられるかもしれませんけど、センサーの大きさは用途で変わりますので、さまざまなものがあります。大きさがそのまま進化かといわれるとそうではなくて、どちらかというと画素サイズですね。
半導体ですので、微細化をしていくというところが技術トレンドになってきます。ある一定の大きさでどれだけたくさんの素子を並べられるか、それをカメラの光学系に応じてどのサイズにしていくかというのを決めていくので。ただフルサイズぐらいの大型になると、それはそれで作るのは非常に難しくなるので、当然技術進化にはなります。
大場 構造的なメリットというところでお話しすると、まず裏面照射型っていうのは、画素の上に配線がないんで、入射角に対する依存性という点で圧倒的に有利だというのが、まず物理的なメリットとしてあります。当然そのメリットは、どんなサイズのセンサーでも生かしたい特徴になってきます。
それに今後のポイントとしては、積層型(Exmor RS)ですね。まだ大きなセンサーは一部しか出していないんですけど、積層型のメリットはいろいろあります。一番大きいのは、フォトダイオードと回路が別のウエハーとなるので、それぞれを別のプロセスで作ることで、それぞれを最適化できるんですよ。フォトダイオード形成時にデジタル回路を作らなくていいから、すごく画質を良くすることができるんです。
もう一つは、ウエハープロセスレベルで積層するので、接点が自由に作れるんですね。これはものすごくいろんな可能性が見いだせる。
裏面センサーって小さくないと感度メリットがそんなにないような議論もあるんですけど、積層型についてはこの2つの大きな構造的な可能性があるので、これはあらゆるアプリケーションに対してわれわれの武器、世の中に新しい価値を提供できると考えてますね。
大木 加えて言うと、配線層と光を取り込むところを別にしたことで、配線のところの自由度というのが増えました。われわれ最近のカメラですと、ハイスピード撮影を始め、高速で動かしていろんな価値を提供しようとしてますけど、そのスピードにおいてもメリットがあるということが、裏面を作る中でわれわれも再認識をしているところですね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.