新型「プリウス」は衝突安全もレベルアップ、すれ違い衝突の安全性を向上 : 安全システム
トヨタ自動車が2015年12月に発売を予定している新型「プリウス」は、最新の運転支援システム「Toyota Safety Sense P」の採用によって安全性能を高めた。それに加えて、万が一の衝突事故の際に乗員を守る衝突安全ボディ「GOA」もレベルアップさせているという。
トヨタ自動車が2015年12月に発売を予定している新型「プリウス」には、JC08モード燃費で40km/l(リットル)という環境性能や、同社における今後の車両開発の基盤となる「TNGA(Toyota New Global Architecture)」プラットフォームで実現した走行性能の向上などさまざまなトピックがある。安全性能では、最新の運転支援システム「Toyota Safety Sense P」が最も大きく貢献しそうだが、万が一の衝突事故の際に乗員を守る衝突安全ボディ「GOA」もレベルアップしている。
一般的に自動車の衝突安全ボディは、衝突によって発生する力を自身が潰れることで吸収する車体の前後の部分と、乗員を守るための強固な構造の車室の2つに分かれている。衝撃吸収部分がどんなパターンの衝突であってもうまく衝撃力を吸収し、車室が変形しにくい高い強度と構造を持っていれば、衝突事故による被害を最小限にとどめることができる。
一般的な衝突安全ボディの構成。衝撃吸収部分と乗員を守る高強度の車室に分かれる 出典:トヨタ自動車
従来のトヨタ自動車の衝突安全ボディは、前方からの衝突による衝撃力の荷重を受けるバンパーリインフォースと、その荷重を伝えて分散するサイドメンバーは1系統だけだった。
トヨタ自動車の従来の衝突安全ボディ。衝撃を受けて分散する構造は1系統だけだった(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
新型プリウスでは、従来のバンパーリインフォースの下部に第2クロスメンバーを設けるとともに、荷重を伝えて分散する構造をサイドメンバー以外にもう1系統増やす「マルチロードパス構造」を採用している。
新型「プリウス」の衝突安全ボディの構造(前面のみ)。衝撃を受けて分散する構造が2系統になっている(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
(左)新型「プリウス」プロトタイプの試乗会で公開されたカットモデルを正面から見た状態。グリルシャッターを挟んで上側にバンパーリインフォース、下側に第2クロスメンバーが配置されている。(右)斜め前から見た状態。黄色で着色されたサイドメンバーに加えて、青色の矢印で示した構造も使って、2系統で衝撃荷重を伝えられるようになっている(クリックで拡大)
これにより「いわゆる真正面で衝突するフルラップ前面衝突だけでなく、車両同士が部分的に衝突するすれ違い衝突や斜め衝突に対しても、衝突安全性能を高めることができた」(同社の説明員)。また、走行性能の向上に貢献しているボディ剛性の向上は、車室をより高強度にする効果もあり、衝突時の乗員保護性能も高められているという。
なお、このレベルアップした衝突安全ボディは、TNGAプラットフォームを用いて新たに開発する車両に対して全面的に採用していく方針である。
新型「プリウス」がTNGAの第1号車になった理由
トヨタ自動車が2015年12月に発売する新型「プリウス」。JC08モード燃費で40km/l(リットル)という環境性能だけでなく、従来モデルのプリウスの弱みだった走りの楽しさや乗り心地を大幅に向上している。これは、新型プリウスが第1号車となる「TNGA」プラットフォームが目指す目標でもある。
新型「プリウス」は目標燃費40km/lをどうやって達成するのか
2015年12月に発売予定の新型「プリウス」に搭載される新技術が発表された。JC08モード燃費40km/l(リットル)を目標に開発されている新型プリウスだが、エンジンやモーターの改良の他にもさまざまな技術を積み重ねることでその目標を実現しようとしている。
トヨタが満を持して投入した「Toyota Safety Sense」は“普及”こそが使命
トヨタ自動車が2015年4月から導入を始めた新開発の運転支援システム「Toyota Safety Sense(TSS)」。安価で高機能なこともあり、市場から高い評価を受けている。そこで、TSSの開発を担当したトヨタ自動車 制御システム開発部 第2制御システム開発室長を務める山田幸則氏に、TSS開発の背景などについて聞いた。
エアバッグが開かないのは衝突安全ボディのせい!?
衝突事故が発生した際には、必ず展開して乗員を守ってくれると信じられているエアバッグ。しかし実際にはエアバッグが展開しないことも多い。これは、衝突安全ボディが、エアバッグを展開する必要がないレベルまで衝撃を吸収してくれているからだ。
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