続いて、芸林氏は2014年12月に行われた「PTC Live Tech Forum 2014 東京」以降にアップデートされた内容について紹介した。
最初に、3Dプリンタの利用を支援する取り組みとして、ストラタシスの協業について説明。「今後さらに、3Dプリンタを最終製品の製造に用いるケースが増えていくだろう。ただ現状では、CADで作った設計データを別のツールに取り込んで、3Dプリント用に最適化されたデータに変換。それを検証し、3Dプリントして造形物をチェックし、またCADに戻って設計データを修正(再作成)するといったループが繰り返されている。われわれは、3Dプリンタを実際の製造に活用していこうというユーザーを支援すべく、設計から3Dプリントまでのシームレスなワークフローを実現する統合ソリューションを、ストラタシスと協業して提供していく考えだ」と芸林氏(関連記事:PTCとストラタシスが協業、設計から3Dプリントまでをシームレスに)。
現在提供中のCreo 3.0(M040)では、マルチカラー/マルチマテリアル対応のストラタシス製3Dプリンタ「Objet500 Connex3」をサポート。Creo 3.0で設計したCADデータを、別の専用ツールに取り込んでSTLフォーマットなどに変換することなく、Creo 3.0上で問題点の確認プレビュー、造形時間と材料消費量の把握、色指定、サポート材の視覚化などが行え、ダイレクトに3Dプリント出力することが可能となっている。
「将来的には、反復設計の削減やより簡単な3Dプリントの実現。機能性・強度などを保持したまま軽量化や省部材化を可能にする機能などを盛り込んでいきたい。また今後、Objet500 Connex3以外のストラタシス製3Dプリンタについてもサポートしていく予定」(芸林氏)。
管理者のための機能として、IoT(Internet of Things)技術を活用し、国や地域、設計者のスキルや利用状況、使用製品などを正確に把握し、効率的にリソースを管理できる「Performance Advisor for PTC Creo」について紹介した。
「Creoを1つのIoT対応製品としてモニタリングを行い、さまざまな情報をIoTプラットフォーム『ThingWorx』に集めてデータベース化。それを分析・解析して、役立つ情報としてWeb上で見える化する。Creo 2.0(M150)以降、Creo 3.0(M030)以降の製品で既に使える機能だ」(芸林氏)。
また、利用中のハードウェアの状況やアプリケーションが落ちた状況なども把握しており、ThingWorx上のアドバイス作成エンジンと、もともと存在するSalesforce上のテクニカルサポート/各種アドバイスデータベースを連携させることで、最適なアドバイスを迅速にユーザーに届けることも可能だという。「的確なアドバイス、テクニカルサポートを受けられるので、常にハイパフォーマンスで設計作業を行うことができる」と芸林氏。
ThingWorxに集められたビッグデータを活用・解析することで、再現性の低い不具合の原因を特定したり、問題を回避するための具体的なアドバイスを行ったりすることも可能になるという。
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