最後に、Creo 4.0以降に追加予定の新機能の一部について紹介が行われた。
まず、芸林氏が挙げたのは「Model Based Enterprise(MBE)」のサポートだ。「3次元設計では『幾何公差』が重要になってくる。現状のCreoでも幾何公差に関する機能は備わっているが、単に表示するための機能にすぎない。残念ながら、設計内容を理解して幾何公差を表示するということができていない」と芸林氏は語る。
こうした公差に関する機能をさらに改善していくため、同社はサイバネットシステムの子会社であるSigmetrixと協業。Sigmetrixが手掛ける「GD&T Advisor」の機能を次期Creoに取り込む計画だという。GD&T Advisorは対話型の幾何公差サポートツールで、Creoのネイティブアノテーションを生成できる他、修正や追加などのアドバイスをビジュアルで表示してくれる。こうした機能により、設計者の経験によるバラつきや、後工程への指示・伝達ミスを軽減できるようになる。
また、アセンブリ機能のパフォーマンス強化も行われる計画だという。
そして、「デジタルツイン」に関する機能追加についての言及もあった。デジタルツインとは、IoT技術でさまざまなデータ(センサー情報など)を取得し、実世界で起こっていることを、デジタル世界にコピーしてしまうという考えだ。製品に組み込まれているセンサーからの情報をThingWorxで収集し、実環境の振る舞いをデジタルプロトタイピング環境(Creo)上で再現することで、製品の状態やパフォーマンスなどを細かく把握することができる。
製品設計におけるデジタルツインの活用について、芸林氏は「ThingWorxで製品に組み込まれたセンサーからの実データを収集。そして、Mathcadを使って集めた無数のデータを単純化・平均化するなどしてデータを整えることで、実環境に近い条件で解析や検証を行うことができる。また、得られた実データを、次の製品開発に役立てるといった利用が考えられる」と説明する。
さらに、「バーチャルセンサー」についても紹介。バーチャルセンサーとは、センサーが設置されていない箇所の振る舞いを知りたい場合に、センサーが設置されている箇所の情報とCreo上の3Dモデルから該当箇所(センサーがない箇所)の振る舞いを予測し、あたかもそこにセンサーが設置されているかのように扱うことができる仕組みのことだ。「IoT対応製品を設計する際に、このバーチャルセンサーを活用することで、センサーの最適化が可能になる」(芸林氏)。
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