デジタルの世界とフィジカルの世界が融合する世界に対し、新たなテクノロジープラットフォームの担い手となるべくPTCでもポートフォリオを拡張を推進。先述した買収などを通じ「Rapid App Development、分析、デジタルツイン、拡張現実の4つの方向性で拡大する」(グレゴリー氏)。
象徴的な取り組みが「デジタルツイン」の活用である。「デジタルツイン」とは、IoTにより取得したデータにより、フィジカルの世界で製品に起こっていることを全て、デジタルの世界にコピーしてしまうことだ。デジタルの世界に“現実世界の双子”がいるような状況となる。これにより、各種データがフィジカルの世界でどういう動きやどういう影響を与えているのかということを、デジタルの世界で再現することができるようになる。
例えば、これにより「現実の世界で製品がどのように使用されているか」というデータを参考にしながら設計者が、次期モデルの改善に役立てたり、新製品を生み出す時の指標にしたりすることなどに利用できるという。同社では、今後CADソフトの「Creo」にこのデジタルツインの機能を実装する方針を示しており、現実世界のデータを参考にしながら製品設計を行う新しい設計環境を創出していく方針だ。
デジタルツインでは、フィジカル情報とデジタル情報を関連付け、現場のサービスマンなどにデジタル情報を示す方法として拡張現実(AR)を活用することも計画している。これに向け、新たにクアルコム(Qualcomm)傘下のVuforia事業を買収。2万2000以上ともいわれるARのパテントを活用し、より効果的なAR活用のツールや手法などの開発に取り組むとしている。グレゴリー氏は「例えば、発電機などのメンテナンスを行う時に、配電線などの情報などを、CADなどの3Dモデル情報なども含めて把握することができる」と述べている。
同社は2015年9月にはGEとのパートナーシップにより、製造現場でのThingWorxの活用なども推進することを明らかにしている。
グレゴリー氏は「デジタルの世界とフィジカルの世界が分断されていた時代はもう終わる。デジタルとフィジカルをどう結び付けて新たな価値を生み出していくかという“新たな現実”にどう対応していくかということを考えなければならない。PTCはこの新たな時代に求められるものを、ポートフォリオの拡張により現実化していく」と述べている。
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