米国では、外科医から起業家に転身したフレドリック・モール博士が立ち上げた外科手術システムのダヴィンチで著名なIntuitive Surgical(インテュイティブサージカル)など、医師主導の医療技術ベンチャー企業(Med-Tech)が相次ぎロボット手術支援システムの開発に参入し、ベンチャーキャピタルやアクセラレーターによる起業サポート体制も整備されてきた。
また2015年3月、共同でロボット支援手術プラットフォームを開発することを発表したJohnson&Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)とGoogle(グーグル)など、異業種から手術ロボットの分野への参入を狙う企業も増えている。
このように手術ロボット市場が拡大し、競争が激化する中で、業界全体の共通課題になっているのが、市販後の医療安全対策だ。FDAは「MedWatch」という安全情報・有害事象報告システムを構築し(関連情報)、市販後安全対策の徹底を図ってきたが、RAS機器に関連する医療機器報告書(MDRs)の件数は年々増加している。
さらに、ロボット支援低侵襲外科手術の分野でリコール事案が相次いだり、手術ロボット使用に関する医師の習熟度やトレーニング体制に対する懸念が高まったりしたことを受けて、FDAが医療安全対策を強化する姿勢を打ち出した。
2015年7月、FDAは「ロボット支援手術(RAS)機器:課題と機会」と題する公開ワークショップを開催している(参考情報)。2日間のワークショップを通じて、以下のようなテーマが公開討議された。
他の医療機器や医薬品と比較して、歴史の浅い手術ロボットは、市販後の安全な使用や、維持メンテナンス、廃棄に至るまでのライフサイクル管理に関する経験/ノウハウが不足しており、監視する側も監視を受ける側も人材の層が薄いのが、米国の現状だ。
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