第42回 ウェアラブル前田真一の最新実装技術あれこれ塾(2/6 ページ)

» 2015年10月21日 10時00分 公開
[前田真一実装技術/MONOist]

2.意外と歴史が古いウェアラブル

 ここ数年、ウェアラブルという言葉が急に脚光を浴びるようになりましたが、実はウェアラブルという言葉は20年も前から提唱されています。

 PCが小さくなり、ディスプレイとキーボードがなければある程度小さくできるようになった時点で、「これをいろいろな作業現場に持ち運んで使えるのではないか」と考えられました。作業現場では、両手は作業に使い、PCを手で持つことは作業効率を損ないます。また、手でPCを持って作業したのでは、PCを落とす危険性もあります。

 そこで、ジャケットやベルトを使って体に装着できるようにしたPCが開発され、これを「ウェアラブル・コンピュータ」と呼びました。例えば、日本アイ・ビー・エムのノートPCグループだった大和研究所(現在は閉鎖)では、1998年にウェアラブル・コンピュータの試作機を発表しています。

 2006年頃になると、「いつでもどこでもコンピュータが使える」という意味で、「ユビキタス」という言葉が流行語になりました。2007年の電気、通信系各社の社長の年頭の辞ではユビキタスのオンパレードでした。

 このユビキタスを実現する技術がウェアラブル・コンピュータで国内数社で製品化されました(図5)。これはメガネ型のディスプレイ装置を備えています。

図5:NECの「Tele Scouter」(出展:NEC

 これは、1998年に「IEEE802.11」が標準化され、その後、徐々にPCでも実用化が普及してきた無線LAN(Wi-Fi)でデータを他のPCとやりとりします。

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