パナソニックが、カーナビやディスプレイオーディオの操作を行うタッチパネルインタフェース部品として「静電容量方式 曲面タッチパネル」の量産を始める。抵抗膜方式を置き換える形で、徐々に浸透し始めていた静電容量方式の車載タッチパネルだが、曲面の実現によってさらに採用が加速しそうだ。
パナソニックは2015年8月6日、カーナビゲーションシステム(カーナビ)やディスプレイオーディオの操作を行うタッチパネルインタフェース部品として、「静電容量方式 曲面タッチパネル」の量産を始めると発表した。カーナビやディスプレイオーディオの他、自動車のコックピットやセンターコンソール、インストルメントパネルに用いられるタッチパネルにも最適だという。
現在、タッチパネルといえば、スマートフォンやタブレット端末に採用されている静電容量方式が主流だ。2点以上のマルチタッチや、フリック、ピンチ、ズームなどのジェスチャ操作は、タッチパネルでは当たり前の操作方法になっており、カーナビやディスプレイオーディオにも同じ操作性が求められている。
ただし、自動車という環境の中で静電容量方式のタッチパネルを使うにはさまざまな課題があるため、スマートフォンのように全ての製品が静電容量方式という状態にはなっていない。現時点では、抵抗膜方式のタッチパネルも広く用いられている。
これには幾つかの理由がある。まず、静電容量方式が車室内で発生するさまざまなノイズの影響を受けて誤動作を起こしやすいのに対して、抵抗膜方式は押された部分を確実に認識することだ。次に、ドライビンググローブなどの手袋を装着して操作する場合、一般的に静電容量方式は操作できないが、抵抗膜方式は操作できる点が挙げられる。そして、静電容量方式よりも抵抗膜方式の方が安価なことだ。
ただし、表面を押しこめるような膜にしなければならない抵抗膜方式に対して、静電容量方式は表面にガラスやプラスチックのパネルで覆うことができ、デザイン面では抵抗膜方式よりも静電容量方式が圧倒的に有利になる。スマートフォンと同様の操作性の実現、そしてデザイン面の優位性、そして採用拡大によるコスト削減効果もあって、着実に静電容量方式の車載タッチパネルを搭載するカーナビやディスプレイオーディオが増えている。
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