レノボのブースではCADの仮想化環境を実演していた。レノボはVDI環境の導入から運用まで全てをサポートしている。展示ブースと秋葉原本社に置いたサーバとをリモート接続し、1つのサーバ上でCATIA V5、SolidWorks、PTC Creo、Autodesk Inventorを動かしていた。SolidWorksのエンジニアが実際に体験してみたところ、ほとんど違和感がなく、普通に使える範囲だったという。
TOTOでは、レノボのデータセンター向けx86サーバ「Lenovo System x iDataPlex」を採用して全社で利用可能なCAEのリモート環境を整えているという。事業部ごとにバラバラなCAEの活用能力や、端末の煩雑な管理などの課題から、CAE基盤の抜本的な見直しを行ったという。CAEアプリケーションは構造解析や流体解析、自社のソルバなどを使用している。一元的に管理することで、運用管理の簡略化やデータ保護などのメリットがあるという。
東京工業大学 学術国際情報センターのスパコン「TSUBAME」は、「みんなのスパコン」と銘打っており、2007年から産業界向けの貸し出しを開始した。利用量は順調に増えており、2014年はTSUBMEの計算資源の37%を提供したという。
トライアルユースでは、成果公開を条件に無料で利用できる。なおハードを借りることができても、商用アプリケーションを利用しようとすると数千万円になってしまうこともあるという。そこで一部のツールになるが、東工大側でライセンスを確保して貸し出している。2014年度は「MW-Studio」「STAR-CCM+」「MSC Nastran」「MSC Marc」を貸し出している(今後は変更の可能性あり)。それ以外もFluentやCUD、COMSOLなど各種商用ツールでの解析も可能だ。「産業界にはシーズがたくさんあり、われわれも楽しみながら取り組んでいる」(説明員)。
ブースではTOTOによる衛生陶器の気液二相流のシミュレーション例を発表していた。TOTOは、かつて汎用ツールを使って自社で解析していたが、それでは足りなくなってきたため、自作コードを使用していた。その後も、流す水は節水要請からどんどん薄膜になり、また発生する泡は洗浄能力にも関わる。これらをシミュレーションしようとするとメッシュが大規模になり、スパコンを検討することにしたという。今回検証したところ実験と一致したため、今後も活用できるめどが付いたということだ。
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