では、これらのIoTによる情報は設計者にとってどのように役立つのだろうか。前田氏は「現在のデモではこれは1台の情報のみの取得だが、将来的には出荷した数千台、数万台の情報が取得できるようになる。これらの平均値などを見れば、今まで知り得なかった『ユーザーはどのような使い方をしているのか』ということに触れることができる。例えば、次世代モデルを設計している時に、後輪の支軸部分の荷重状況を見て、次世代モデルの設計時により強度を高める設計をする、というようなことが可能になる。また使われていない機能を削除する指標などにも使える」と述べている。
これらで取得したデータをさらにフィジカルの世界にフィードバックすることも可能だ。PTCでは、タブレット端末でこのデジタルツインによって得られた情報を自転車に重ね合わせて見るというデモなども実施している。
今回のデジタルツインの出展について前田氏は3つのポイントがあると話す。「1つ目は、IoTによる新たなモデルの1つの形を具体的な形で示せたという点だ。2つ目が、これは2Dではできないという点だ。将来のIoT時代を見据えた場合3D CADは前提条件となってくる。3つ目が、IoTとCADを組み合わせた展開は今後本格的な流れになる将来像を示せたという点になる」(前田氏)。
今回出展したデジタルツインのデモはあくまでもコンセプトモデルだが、PTCでは米国で開催されたイベントで「今後1年以内(2016年末まで)にPTCのCADソフトである『Creo』にデジタルツイン機能を実装する」と発表しており、実際に「その目標に向けて開発は進んでいる」(前田氏)としている。
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