FPGA大手のザイリンクスが車載分野における事業展開を説明。フォードやホンダ、フォルクスワーゲンなどの量産車への採用事例を挙げるとともに、16nm世代のプログラマブルSoC「Zynq UltraScale+」を2017年第3四半期に量産することを明らかにした。
FPGA大手のXilinx(ザイリンクス)は2015年6月23日、東京都内で会見を開き、車載分野における事業展開について説明した。
会見には、まず同社の車載セグメント担当ディレクターを務めるNicholas L. DiFiore氏が登壇。あいさつを兼ねて、「当社の事業で、今後1〜2年で最も成長すると見ているのが車載分野だ。これまで欧州を中心に採用が進んでいたが、国内での採用事例も増えてきている。特に高度運転支援システム(ADAS)については大幅な伸びになると見ている」とコメントした。
同社の車載分野の事業展開について解説したのはオートモーティブマーケティング/製品企画部門 シニアマネージャを務めるケビン・田中氏である。
田中氏は、「さまざまなアプリケーションで、当社製品のようにプログラマブルなソリューションが求められている。ADASもその1つだ。多くの有力な自動車メーカーやティア1サプライヤがいる日本では、ADASをはじめ車載分野での展開に注力していく」と語る。
ザイリンクスの車載分野の進展は著しい。2002年に車載分野に参入して以降、現時点まで車載のプログラマブルロジックデバイス(PLD)を累計9800万個以上を出荷している。2015年は1510万個を出荷する予定なので、同年内に累計1億個を出荷するのは確実だ。
また車載PLDの世界シェアは60%以上と、競合のAltera(アルテラ)を突き放してトップ。さらに田中氏は、「2015年は車載プロセッサ/ロジックICの世界市場でトップ10に入る見込みだ。これは先述したADAS分野で、プログラマブルSoCの『Zynqファミリ』などの採用が急激に拡大しているからだ。かつて当社のICは、プロセッサやDSPの前処理やインタフェースとしてしか車載分野で利用されていなかった。ついに中核的な役割を果たすようになったことが、トップ10入りによって証明されるだろう」と強調する。
ADASは、自動運転技術への発展を視野に入れる形で市場を急激に拡大している。田中氏によれば、2017年のADAS市場は2012年比で20%以上の成長を果たすという。
ザイリンクス製品を採用する自動車メーカーのブランド数も急激に伸びている。2004年の2ブランドから2010年には6ブランドとなり、そして2015年3月末時点では16ブランドまで増えている。「ADASはカメラやミリ波レーダー、レーザーレーダー、それらの融合などさまざまなセンサーを使うようになり、機能もアダプティブクルーズコントロールや車線維持、自動ブレーキ、歩行者認識、サラウンドビューなどと拡大を続けている。こういった進化の激しいシステムにとって、プログラマブルであることは大きなメリットがある」(田中氏)。
実際に、2015年における同社の車載分野の出荷数は1510万個だが、このうち580万個以上がADAS向けになるというのだ。
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