ママさん設計者がやさしく教える「部品図の描き方超入門」まずは自分の手で描いてみる(2/3 ページ)

» 2015年05月28日 10時00分 公開

「第三角法」と「第一角法」

 「第一角法」と「第三角法」をご存じでしょうか。どちらも立体空間にある対象物を水平と垂直の2方向から投影し、その形状を平面に描いて製図することから、「正投影法」と呼ばれています。

 随分前に、「図面の起源は14世紀以前のヨーロッパにあり、そこで確立されたのが『第一角法』。後に、アメリカの“素人さん”が第一角法をまねて、うっかり真逆に作図した偶然の産物が『第三角法』だ」という逸話を聞いたことがあります。逸話の真偽のほどは分かりませんが、日本では機械製図に第三角法を用いることをJISで規定していますし、第三角法の配置は第一角法に比べて自然で、素人さんにも分かりやすく、確かに部品図には適していると思います。そして、製図に当たっては、この第三角法と第一角法の違いを知っておく必要があります。両者の違いを理解しないままでいると、指定した面とは反対の面が加工されてしまう“致命的なミス”を招きますのでご注意ください。

 それでは、図1を用いながら第三角法のポイントを説明していきましょう。なぜ、第三角法が部品図に適しているのかもよく分かると思います。

「第一角法」と「第三角法」の違いについて 図1 「第一角法」と「第三角法」の違いについて

 第一角法では、

  • 上からの投影図は下へ置く
  • 左からの投影図は右へ置く(右からの投影図は左へ置く)

が基本です。

 第三角法では、

  • 上からの投影図はそのまま上へ置く
  • 左からの投影図はそのまま左へ置く(右からの投影図は右へ置く)

が基本です。

 この状態を図面にすると図2のようになります。

「第一角法の図面」と「第三角法の図面」の違いについて 図2 「第一角法の図面」と「第三角法の図面」の違いについて

 いかがでしょう? 第一角法は物体と投影面の配置を脳内変換しなくてはならず、ややこしいですよね。それに対して、第三角法は「今ここに見えている面をそのまま描く」ので、図面から形状をつかみやすく加工ミスを減らせる利点があります。正面図を基準に前後左右に90度ずつコロコロ傾ければ、それがそのまま平面図、背面図、裏面図、右側面図、左側面図となるのです。そして、「その部品の形状を最もよく表している面」を正面図にすると、加工者に分かりやすい図面になります。

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