ファナックは、ハノーバーメッセ2015の中心製品として安全機能を組み込み人間と協調して作業を行える人間協調ロボット「CR-35iA」を出展した。
ファナックは、ハノーバーメッセ2015の中心製品として安全機能を組み込み人間と協調して作業を行える人間協調ロボット「CR-35iA」を出展した。
産業用ロボットは安全性の問題から、「周辺に柵を設けて人間が立ち入れないようにしなければならない」など、日本やドイツなど各国で安全規制が設けられている。しかし、安全関連技術が発展した他、ドイツの「インダストリー4.0」で掲げられているような柔軟性の高いスマートファクトリーを実現するには、人とロボットが共同で作業し、それぞれを支え合いながら生産を行う姿が望ましい(関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】)。
これらの流れの中で各国でも規制を緩和する動きが生まれてきており、日本でも2013年12月に規制が緩和され、安全性を確保できる何らかの処置が行われたロボットに対しては、人間と共同作業を行うことなどが可能となっている。
ファナックでも人間と協調して作業を行えるロボットの開発を推進。既にコンセプトモデルとしては日本のJIMTOFや米国シカゴのIMTSで出典していたが、その時のモデルは有効荷重が3kgのものだった(関連記事:“一緒に働く”ロボットは安全の緑!? ファナックが人間協調ロボットを出展)。今回のCR-35iAは同社の人間協調ロボットの欧州でのデビューとなった他、従来は軽量のモノを運ぶ作業しか行えなかったのに対し35kgの有効荷重を実現していることが特徴となる。国際標準であるISO 10218-1を取得している他、さまざまな安全規格認証を受けており、実際に現場で利用できるように仕上げた。
CR-35iAは、人と接触した時に危害を与えない各種の安全機能が組み込まれているために、人と同じワークスペースで働けるようになることが特徴だ。
安全機能としては、ロボットのどこを触っても高感度に接触を検知し、安全にロボットを停止できる「Contact Stop」機能がある他、オペレーターに物理的に押された時に作業を止める「Push to Escape」機能などを備えている。またアーム表面全体に柔らかい素材を使い、人に触れた時に柔らかい感触を与えるとともにぶつかった時の衝撃を抑えることができるようにしているという。
同社では、現在の産業用ロボットの置き換えで利用し作業現場の安全性を高めるというシナリオとともに、従来ロボットを利用できなかった領域で用途を拡大し普及を進めていく狙いを示している。
プレスカンファレンスを行ったファナックドイツ法人のオラフ・クラム(Olaf Kramm)氏は「人間と機械が協調して作業を行えるようにするニーズは高まっている。ただ国によって規制が異なるので有効荷重をどう設定するかが課題となるだろう」と語っている。
同社では企業カラーとして黄色を採用しており、同社製ロボットも全面を黄色とし工場内でも異彩を放つ形で、ブランドイメージを築いてきた。しかし、新たに展開する協調ロボットには緑色を採用。プレスリリースには「Green is new yellow」というタイトルが示され、人間協調ロボットを新たなスタンダードに成長させる狙いを示した。
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