「オーリス」が排気量1.2l直噴ターボ搭載、過給エンジンで熱効率トップクラスエコカー技術

トヨタ自動車は、日本国内と欧州向けのCセグメントハッチバック車「オーリス」をマイナーチェンジ。同社が各車種に導入を広げている「高熱効率・低燃費エンジン」の1つとなる、排気量1.2l(リットル)の直列4気筒直噴ターボエンジン「8NR-FTS」を採用した。

» 2015年04月06日 15時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 トヨタ自動車は2015年4月6日、日本国内と欧州向けのCセグメントハッチバック車「オーリス」をマイナーチェンジし、同日に発売した。同社が各車種に導入を広げている「高熱効率・低燃費エンジン」の1つとなる、排気量1.2l(リットル)の直列4気筒直噴ターボエンジン「8NR-FTS」を搭載するグレードを追加するなどしている。税込み価格は、従来と同じ排気量1.5lエンジンを搭載する最も安価なグレード「150X“C Package”」の178万9855円から、8NR-FTSを搭載する「120T」の259万37円まで。月間販売目標台数は1000台。


マイナーチェンジした「オーリス」の外観(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
「オーリス」の内装 「オーリス」の内装(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

最大トルクは排気量1.8lエンジンを上回る

 新開発の8NR-FTSは、同社が2014年4月に発表した「高熱効率・低燃費エンジン群」の1つとなる。排気ガス温度を最適にする水冷シリンダーヘッド一体型エキゾーストマニホールドとシングルスクロールターボチャージャーの組み合わせにより、ターボチャージャーの優れた過給効率を実現した。

「8NR-FTS」の外観(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車

 コンパクトな水冷式インタークーラーの採用で、エンジンの熱負荷に左右されず運転状況に応じた吸気冷却効果を発揮できる。これにより、ターボラグと呼ばれるターボエンジン特有のアクセル操作に対する応答遅延が少なく、幅広い回転域で最大トルクの発生を実現できるという。気筒サイズは内径71.5×行程74.5mmで、圧縮比は10.0。最高出力は85kW(5200〜5600rpm)、最大トルクは185Nm(1500〜4000rpm)となっている。

 これらの数値は、オーリスの排気量1.5lエンジン「1NZ-FE」の最高出力80kWや、最大トルクは排気量1.8lエンジン「2ZR-FE」の173〜180Nmを上回っている。

 「高熱効率・低燃費エンジン群」に適用しているシリンダー内の強いタンブル流(縦回転の渦)と、直噴技術「D-4T」の組み合わせにより理想的な混合気の形成が可能になり、高効率の高速燃焼を実現した。負荷に応じて吸気側のバルブ開閉タイミングを制御する連続可変バルブタイミング機構「VVT-iW」によるアトキンソンサイクル化の効果などもあって、量産過給ガソリンエンジンとして世界トップレベルの最大熱効率36%を達成した。

 オーリスで8NR-FTSを搭載する120Tは、トランスミッションとしてCVTである「Super CVT-i」との組み合わせになっている。アイドルストップシステムも搭載し、JC08モード燃費は19.4km/lとなった。「平成27年度燃費基準+10%」を達成しているのでエコカー減税の対象となる。

「Toyota Safety Sense C」を搭載

 今回のオーリスには、2015年4月に大幅改良した「カローラ」で初導入した運転支援システム「Toyota Safety Sense C」を採用した。120Tや排気量1.8lエンジンを搭載するグレードは標準装備となっているが、排気量1.5lエンジン搭載グレードでも5万〜5万8000円のオプションとして用意されている。

 デザイン関連では、ヘッドランプを強調するメッキモールを配したアッパーグリルやバンパーコーナー部まで開口を広げたフロントロアグリル、水平基調のリヤバンパーなどによって存在感を強調。全長は、従来の4275mmから4330mmと55mm拡大しており、伸びやかなプロポーションを実現したとする。

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