実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第31回は、信号が伝送線路を伝播するとき、信号の一部が熱となり信号のエネルギーの一部が失われてしまう「損失」について取り上げる。
本連載は「エレクトロニクス実装技術」2013年9月号の記事を転載しています。
信号が高速化し、100MHzを超えるようになると、「損失」を考慮した伝送線路解析を行う必要があるといわれます。
損失といわれる現象は信号が伝送線路を伝播するとき、信号の一部が熱となり信号のエネルギーの一部が失われてしまうことです。損失は、ワイヤレス伝送でも良く使われる概念です。
一般的に100MHz程度より遅い信号は、伝送線路を伝播するとき、損失を考慮する必要はなくドライバから出力された信号のエネルギーは100%レシーバへ伝達されるものとして考えられます。
このとき、伝送線路の特性インピダンスは信号の周波数にかかかわらず、一定の値をもち、信号の周波数に依存しません。また、配線の長さは、信号の伝播遅延にかかわる変数として考慮されます。
図1は損失のない伝送線路のモデルです。
これに対して、損失を考慮しなければならないほど高速の信号では、信号の周波数と、伝送線路の長さが大きな意味を持ちます。
図2が損失のある伝送線路のモデルです。
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