私ならこう答えますね!
さすがぁ、エリカちゃんだぜぃ! 完璧に近いよ。だがよぉ、気になるのは「C」だ。「高い・安い」の表現じゃ、学者はいいがよぉ、職人とは言えねぇぜ。職人がこれでは、飯は食えねぇだろがぁ? あん?
確かに甚さんの言う通りだと思います。うちの父も、マグロをはじめ、各種の魚介類、タマゴ、ワカメ、昆布、米など、あらゆる食材のQCDを熟知しています。しかも、四季による仕入れ値の変動も……!
機械材料のコスト(原価)の情報については困ったことがあります。日本の機械材料の専門書は「高い・安い」の記載しかないのです。Web検索しても、なかなかその情報がヒットしません。甚さんも言うように、学者はこれでもよいかもしれませんが、設計職人も寿司職人同様、それでは食べてはいけないはずです。
それじゃあ、材料選択の13項目に基づくステンレス材料の特性(前ページ表1)に基づいて、答えなおしてみますね。
C:コスト係数:SUS316:SUS304:SUS430=4.40:3.38:2.25
コスト係数とは、例えば、100×100×100mmのサイズで、SUS3106製の大型サイコロの材料費は、
材料費=100×100×100×4.40×10-3=4400(指数、もしくは円)
となります。
ついでに、次の図1と図2のステンレス材料別の部品点数分析(≒図面枚数分析)も見ておけ。
図1では、ステンレス鋼板としての「SUS304」を、図2は、切削用のステンレス材としての「SUS304」を覚えておけばいいんですね。どちらも、SUS304が第1位には驚きました。
ステンレスは人類の長い長い歴史の中に登場してまだ100年ほどですが、現在非常に多用されている材料です。その中でも日本企業の場合、SUS304の部品点数は断トツです。従って、派遣設計者がどのような業界に派遣されても、押さえるべき材料選択のナンバーワンは、「SUS340」です。
そういや最近、良君のような正社員の設計者よりも、エリカちゃんのような派遣の設計者の方が優秀とか言われているらしいなぁ。
「派遣の設計者の方が優秀」、うーん……僕にとっては情けない話だけど、その通りかもしれません。彼らは1社の在籍年数が短いのに、僕らより優秀で、モチベーションも高いですね。エリカちゃんのようにね。
いえいえ、とんでもない……。ただ、私たちのような派遣社員は、常にスキルを磨き続けないと契約していただけないですから、気が抜けないんですよ(でも、今の職場は早く契約切ってもらいたいけどね)。
近年、当事務所のあるクライアント企業の間においては、正社員の設計者よりも、派遣の設計者の方が優秀だといわれています。彼らは、3年ごとに派遣先を変えるので、その都度、自己研鑽(じこけんさん)意欲がおうせいで成長するのでしょう。この件は本格的な設計審査の導入後に耳に入ってきました。
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