限界回転数2倍のEV・HEV用グリース潤滑高速深溝玉軸受電気自動車

NTNは、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に搭載されるモータ用に、高速回転に対応する「グリース潤滑高速深溝玉軸受」を開発した。限界回転数は同社従来品の2倍、dmn値は108万で、業界最高の高速性能になるという。

» 2015年03月18日 07時00分 公開
[MONOist]

 NTNは2015年3月4日、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)に搭載されるモータ用に、高速回転に対応する「グリース潤滑高速深溝玉軸受」を開発したと発表した。限界回転数は同社従来品の2倍、dmn値は108万で、業界最高の高速性能になるという。

 EV・HEVの駆動用モータは、小型・軽量化のため高速回転の要求が高まっている。使用される軸受も高速回転に対応する必要があるが、従来のグリース潤滑深溝玉軸受では、高速回転時の遠心力によって保持器が変形して温度上昇が生じたり、グリースの拡散により潤滑不足が生じるといった問題があったという。

 今回開発されたEV・HEV用グリース潤滑高速深溝玉軸受は、新たに採用した樹脂製保持器の材料の配合を見直し、形状を工夫することで、高速回転時の遠心力による変形量を最小化した。同時に、軌道面へ円滑にグリースを供給できるようにし、保持器と鋼球のしゅう動性向上を図っている。

 封入するグリースは、高速回転の遠心力に耐え得るちょう度(増ちょう剤)と、高速でも転走面に潤滑成分を供給できる粘度(基油)を組み合わせ、最適化した。これにより、高速回転時の潤滑不足を解消したという。取り付け寸法は標準軸受と同一のため、現行の軸受から置き換えも容易にできる。

photo EV・HEV用「グリース潤滑高速深溝玉軸受」(左)と新開発の保持器(中央)、従来品の保持器(右)
photo EV用モータの適用部位(例)

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