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» 2015年03月16日 10時00分 公開

ちゃんと仕込みはできてる? ――工業製品設計フローの本来あるべき姿甚さんの「サクッと! 設計審査ドリル」(9)(2/3 ページ)

[國井良昌/國井技術士設計事務所(Active Design Office),MONOist]
エリ

甚さん、ここで言葉の定義が必要だと思います。構想検討、概略構想、構想設計と3つ出てきたので。

甚

おぉ、名案だぜぃ。さすがエリカちゃんだ。そんじゃ、エリカちゃんにお願いするぜぃ。


エリ

これでいかがですか?(表1)


表1 設計プロセスに関する言葉の定義 出典:「ついてきなぁ!機械設計の企画書と設計書と構想設計」(日刊工業新聞社刊)
甚

おう、そんなとこだな! しっかしよぉ、良君。オメェの仕込みだけどよぉ、それってどこからパクってきたんだぁ? いいか、正直に答えろよ?


良泣

……う。うう……。うううううう僕がパクッたんじゃなくて、ウチの課長がパクってきたんですよぉー。そしてパクリ元の専門書がこれ(図2)です……!


図2 ある専門書に記載されていた設計フローと甚さんの設計フロー 出典:「ついてきなぁ!機械設計の企画書と設計書と構想設計」(日刊工業新聞社刊)
甚怒

べらんめぇ! こりゃ、ウソだろがぁ! これが、日本の設計専門書かぁ、あん?


 設計者の3大アウトプットは、以下のはずです。

  1. 設計書作成
  2. 図面作成
  3. 特許出願

 日本の設計専門書には「設計書」と「設計審査」についての記述がありません。さらに、現在では必須であるはずのFMEAもです。FMEAとはトラブルを未然防止する開発ツールであり、重要な設計プロセスです。

 日本の多くの設計専門書は、昭和初期の実務経験がない学者が、国内もしくは海外のどこかの企業技報などを単に写し取っただけのものが元ではないかと筆者は推測しています。さらにそれを誰かが写し取り……、といったことが繰り返されたきたのではないかと。もし、推測が当たっていれば、日本は「パクり王国」認定かもしれませんね。

筆者注:ここで言う設計の専門書は機械系のものです。建築系には「設計書」と「設計審査」、さらに「コンペ」(コンペティション)の記載があります。この3アイテムは料理(料理人)と全く同じフローです。

甚

日本のメーカーの社告・リコール問題がなかなか収束しない理由が分かっちまったよ。収束どころかますます増加してるよなぁ。それが人サマの財産や命までも脅かしているんだろう……。


甚

オメェ、自分が書いたフローがおかしいって、本当は分かってんだろ? あん。今まで、オメェの設計現場を改善しようと頑張ってきたんじゃねぇのかい。


良真

そうですよ! 確かに「甚さんの設計分析大特訓」以来、自己研鑽(けんさん)してましたし、今も頑張っていますよ!!


甚

なのに、どうしてあんな答えになったんだ。


良泣

ウチの課長や部長が全然理解してくれなくて、あのフローを強引に押し通しているからです。皆もそんなの面倒だってね……。僕の力不足でしょうか(泣)


エリ

国木田さん……。


 良君には、これからも頑張ってもらうしかありませんね……。さて、ここで甚さんの言い分をまとめてみましょう。設計フローとは図2の右側となります。従って、概略構想図へ移行するための「仕込み」とは以下です。

  1. 企画書と仕様書を理解する
  2. 1を基にした設計書を作成する
  3. 1、2を基に、設計審査を受審するための補助図である「概略構想図」を作成する

 少し補足すれば、企画書の前に競合機分析があり、設計審査の承認後には、「構想設計」へと移行していきます。承認後なので、後戻りのない「構想設計」へと移行します。もちろん構想設計はノットスケールではありません。設計書や設計審査に関しては、「甚さんの設計分析大特訓」で復習しましょう。

 今までも何度もお伝えしてきたことですが、「設計書の作成が不可欠である」と、あえてもう1度、この場で言わせてください。

 疑問を持ったり、自己流・我流を主張する前に、他の職業(職人)と比較してみてください。筆者は、料理人や建築家などを対象にしています。次のページでそれを実践してみましょう。

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