Ronnkvist氏はクルマがコネクテッドカーとなり、従来にない新しい使い方をされるようになる中で「クルマそのもののデザイン(位置付け)について、自動車メーカーは学んでいかなくてはいけないことが多い。さまざまなモノがつながる社会の中でクルマの価値をいかに高めていくかが重要である」と語り、未来のクルマのデザインを見据えたボルボの2つの取り組みを紹介した。
1つが2014年に発表した、「Roam Delivery」という自分のクルマを宅配物の受け取り場所として利用できるサービスだ。ユーザーが商品を注文し、受け取り場所を自分のクルマに指定すると、配送業者に1回限り有効な「デジタルキー」が送付される。これを利用して、注文主のクルマのトランクなどに荷物を届けられるというシステムだ。
2つ目が2015年に発表した、ドライバーとサイクリストの相互通信を利用した安全技術である。サイクリストが車両との通信が可能な自転車用ヘルメットを装着して走行すると、車両と自転車が接近した際にドライバーとサイクリストの双方に危険が通知され、衝突を防ぐ。これはスウェーデンのスポーツギアメーカーであるPOCと通信会社のエリクソンと共同開発したものだ。
これら2つの技術は、クルマがコネクテッドカーへと進化したことで生まれたアイデアだが、ここでポイントとなるのが、ボルボはこの2つの新たなアイデアを、自動車ショーではなく、消費者向けエレクトロニクスの展示会「International CES」や、モバイル関連機器の展示会である「Mobile World Congress」で発表した点だ。
Ronnkvist氏は「これまで自動車メーカーは、上海やジュネーブ、デトロイトなど、世界各国で開催される自動車ショーを中心に新たな発表を行っていた。しかし現在はInternational CESなどに、ボルボを含む多くの自動車メーカーが出展し始めている。特にInternational CESは自動車産業にとってとても重要な存在だと考えている。こうした自動車メーカーの動きは、クルマがコネクテッドカーとなり、ユーザーの生活を取り巻くデジタルな世界に近づいてきたことを表しているのではないか」と語った。
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